寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

あなたの立ち位置は右側ですか?左側ですか?

私は、左側を歩くのが好きだ。自分の右半分の顔が好きだから。左の顔は好きじゃない。

だから、私は左側を歩く。彼は右側を歩く。

彼は右側を歩くのが好きらしい。「何かあった時に利き腕を自由にできていると、とっさの対応ができるから。貴女を守れるし」という。

たとえば、右手で人を殴ったりするのだろうか。詳しくはわからないけれど。

いつも2人で歩いていると私が左側で彼が右側で、そして、手をつなぐ。彼の右手が自由で、私は左手が自由で。

道を歩く時は左側の歩道を歩く。彼が車道側になるように、彼は左側を率先して歩く。頼もしいな、と思う。

逆が好きじゃなくてよかった。過去の恋人はたいてい、「どちらでも良い」という人だったが、1人、左側を歩くのが好きな人がいた。その人とは、よくぶつかった。もしかして、彼が右側を、それか、私が右側を好きだったらうまくいったのかもしれない。

でも、ベッドで寝る時だけは、私は右側で彼が左側で寝る。

左側に窓があるからだ。

「冬は窓際は寒いし、夏は眩しいでしょ。だから僕が左側で寝るよ」と彼は言う。

「頭の位置を変えれば、私が左側で、あなたが右側なんじゃない」と思って試したけれど、「なんだかうまくいかない」と彼はいって、「左右よりも頭の位置の方が人間って重要なんだね」と笑った。

でも私は知っている。彼が左側で寝るのは窓のせいじゃない。

それよりも、左側には棚があって、そこに携帯をおけるからだ。そして、浮気相手からの連絡をさっと私よりも先に確認することができるからだ。頭を逆にするとその棚が遠くなってしまうからだ。

結局、私の立ち位置は左じゃなくて、彼の後ろだったのかもしれない。