寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

恵比寿像にて待ち合わせ

東京にある恵比寿という街。渋谷の隣ゆえか飲食店も多く、古いモールのガーデンプレイスの存在感ゆえかデートスポットしても愛用され、多くの用途に利用される街である。

その街で最も使われる待ち合わせ場所の1つが、恵比寿像。JR西口の改札を出たあたりにある銅像で、同じく恵比寿に繋がる日比谷線の出口からも近く、目印としてわかりやすいためよく待ち合わせ場所に指定される。いわば渋谷のハチ公や銀座のライオン像のように。

僕はそこで待ち合わせをするのが好きだ。なぜなら、そこで他に待ち合わせする人々の話や笑顔を見ることができるからだ。

多くはカップルだ。感覚値だが、関係性の深そうなカップルほど女性が先に待っており、初々しいカップルの方は、男性が先に待っている。ゆえに、男女のどちらが待っているかでおおよそのカップルの関係性を推測することができる。

この時、見応えがあるのは女性だ。女性は、それまで仏頂面で携帯を眺めている。たまにナンパで声をかけられて恵比寿像の右から左に場所を移す。すこし眉間にしわを寄せながら。しかし、待っている人が来た時の女性の表情は、まるでイリュージョンのようだ。まばゆいばかりの笑顔で破顔し、男性を受け入れる。そして、そのまま、2人で交番の方に向かい、西口の五叉路の方に消えていく。

あるいは「はじめまして」というカップルもいる。インターネットでの出会い系か何かだろう。そういう時の2の距離感と会話の空白感はなかなか趣深い。

それと比べて合コンの待ち合わせは味気ない。今日の飲み会の事前ブリーフィングや戦略の議論を男性同士で繰り広げる。この場合、女性が先に待っていることはほとんどない。どこかのマニュアルでは「コンパでは時間に遅れていくのがマナー」といったルールが記載されているに違いない。

なお、今日は恵比寿像でこのような待ち合わせの第一声を聞いた。男性が待っていて、女性が走ってきた。そして博多弁で言う。

- これは地蔵ではないと

これほどまでにこの2人のドラマを想像してしまう一言を僕は知らない