霞町、けやき坂、暗闇坂、星条旗通り
色気のある地名、というものが存在する。記号としての色気とその場所自体も色気のある2点において色気が出るのだろう(ソシュール先生の言葉を借りるならば、シニフィエ、シニフィアンとしての色気)。
たとえば、西麻布の旧名である「霞町」。カスミというなんだかかっこよい響きに加えて、西麻布の男女の交わる交差点という場所柄、とっても淫靡な響きになっている。もっとも日常で「霞町いこう」というと、ちょっときざすぎるけれど。
他に、もう少しライトなものであれば、けやき坂。ヒルズの横を通っている坂道だが、この麓には、朝までやっているスターバックスがありIT社長たちがいる。あるいは、その向かいにはクラブがある。坂の途中にはバカラのバーがあり、頂上には性器のインテリアを飾る中華街があり、ハイアットがある。場所も名前も、なんだか味がある。
それ以外にも、麻布十番の暗闇坂(麓によい和食がある)、表参道の骨董通りの肉屋(何件かあるがどれも美味)、代官山の鎗ヶ崎の交差点(近くにツタヤもあり、または、恵比寿と中目黒の交わる場所でもある)。
過去に、そのような地名をよく使う友人がいた。
「ほら、お茶の水の聖橋口にある、、、」や「星条旗通りを過ぎたあたりにある、、、、」、「オルガン坂の裏手にある、、、」などなど。
「デートでかっこいいじゃん。そういう地名を言えるって」と彼は女性にもてたいがために地名を覚えていた。努力家だった。
そんな彼が住んでいるのは、長者丸という恵比寿と目黒の間にある一角だった。「長者丸ってかっこいいでしょ。なんだか武士みたいで」。
彼に会うのは、姫路あたりに住んでいる女性なのかもしれない。長者には姫と相性が良さそうだ。問題は姫路に住んでいる人との出会いは日常接点であまりないことだけれど。
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今回は以下の記事からヒントを得て書きました