寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

僕らはいつも人生を賭けている

タクシーに乗っている時に、どうも自分の人生を相手にあずけている気がして、ドキドキする。思わず後部座席でシートベルトを締めるのだけれど「あなたを信用してないわけじゃないけど、万が一の時を考えてするんですよ」と心の中で言い訳をしながらシートベルトをする。

バイクで女性を後ろに乗っける時もそうだ。その子の命を預かっている気持ちになる。一度、バイクで横浜にいった時は、雨になったので、女の子には電車で帰ってもらった。雨の日はスリップしやすく、そのリスクを彼女にまでとらせるわけにはいかない。

バーでカクテルを頼んだ時だってそうかもしれない。マティーニ、と頼むのではなく、「今日はつかれたので、気合が入るようなカクテルを。柑橘系で、ウォッカも使って」というようなお願いをバーテンさんにお願いする時に、僕は彼にある種の命をあずけている。どんなものが出てくるのかわからない。まずいかもしれないし、想像を超えたものかもしれない。それを残すわけにはいかないから、飲む覚悟で僕は貴方の手際を信じる。もしそれを恐れるなら、ビールでも頼めばいい。はずれはきっとないだろう。

性行為の時の女性の気持ちもそういうものに近いのかもしれない。避妊具をつけていても外れる恐れがあるし、そもそも避妊具を使わない避妊(に近いもの)をする場合は失敗する恐れだってある。その恐れを承知で女性は性行為を受け入れている。

最たるものは飛行機だろう。「落ちないよね」という覚悟と共に、僕らは飛行機に乗る。何千万分の1かは墜落するだろう。そのリスクを頭の片隅に止めながら僕らは生きる。

日々僕らは人生を人にあずけている。

今日、僕がカツサンドを買ったらエビサンドだったように、たまに賭けたことがはずれに終わるけれど、そういう時は、こんなふうに人生を自省することもできる。

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今回の記事は、けんすうさんの以下のツイートからヒントを得て書いてみました