寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

二度寝の幸せはジョブズへの感謝

世の中に二度寝の幸せほど手軽に味わえて、さらに容易に味わえる幸せはないのではなかろうか。

「あと5分」という悪魔の呪文は2億年前から唱えられていたが、いくら文明が発達しても、その呪文は変わることはない。まさに睡眠欲が3大欲求たる所以だろう。そして、その5分の幸せは、何にもまして貴重である。

「人生でこんなに5分を大切にしたことはあるか?」と思えるほど大切な5分である。そんな大切な5分は、社長プレゼンに間に合わない資料を作っている時と電車の最終の乗り継ぎタイミングの時くらいだ。

その貴重で幸せな5分を毎日味わう方法がある。それは、毎日、起きないといけない時間の5分前に通常と別の目覚ましをセットするだけである。それによって、「あと5分」を味わうことができる。

さらに、その5分が休日なら最高だ。あと5分を永遠に続けられる。実際、目覚ましを5分ごとにセットしておけば良いだけだ。何度も「あと5分寝れる」という気持ちよさを味わい続けることができる。食事で「デザートを永遠に」や性行為で「フィニッシュを何度でも」はなかなか厳しいが、睡眠だと「何度も寝直す」というのができるのだ(体質によるが)。これは、もはや人生の裏技とさえ言って良いだろう。人生のバグをついた妙技である。何度も「あと5分」を味わえる。これは、耽美であり堕落であり、あまりやりすぎるとその贅沢さに放蕩してしまう恐れさえあるだろう。魂を抜かれる気持ちさかもしれない。法で取り締まられる日も近いだろう。

ただ忘れていけないのは、この「あと5分」の連続は文明の利器が初めて実現したのだ。そう、携帯の目覚ましだ。それ以前はアナログの目覚ましだった。ゆえに「5分後にもう一度目覚ましをセットする」というのは地獄の苦しさを伴うものだった。しかし、デジタルの目覚ましでは、5分のインターバルで目覚ましを何度も起こすことができる。これは、もうジョブズに感謝しかないだろう。コネクティングがドッツする気持ちよさである。湘南乃風も親や友人に感謝してる暇があれば、コネクティングドッツおじさんに感謝した方が良い。

ああ、明日もあと5分の気持ちよさが味わえる。とはいえ、その5分の気持ちよさを堪能する前にまた人は睡眠に落ちていく。まさにいくら恋で手痛い思いをしても、また恋に落ちていく。そう考えると睡眠と恋は、まさに近い様相を持ったものかもしれない。どちらも「寝る」というのが大事だし、どちらも3大欲求だし、どちらもいつか覚めるものだし。そう考えると、恋愛も「あと5分だけの恋愛」というのもあるのかもしれない。いつか冷めることが分かっている恋だ。ああ、よく考えれば、それって(以下略)