寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

7年前のゴールデンウィーク

記憶に残っているゴールデンウィークは?と考えて思い出すのは、7年前のゴールデンウィークだ。

6日間の休みを、全て読書にあてた。それも小説やノンフィクションではない。仕事のための本だ。4月から新しい部署に移動になり、会計のことを学ぶ必要があった。Amazonで会計と検索して、検索結果上位からレビューをチェックして30冊ほどまとめて買った。

その30冊をざっと卓上に積み上げ、6日間で読む、と決めて読み切った。最初はわからない単語ばかりだったが、後半はスピードをあげて読むことができた。その間、食事はできるだけ時間をかけないようにコンビニの買い出しで済ませた。それさえも面倒なときはハンバーガーをデリバリーした。

当時はFacebookもあまり使われていなかったので、友人たちのFacebookを見て、羨ましく思うことも少なかった。とはいえ、mixiがあったので、それは見ないようにしていたが。

世界と断絶したゴールデンウィークだった。テレビも見なかった。どこが渋滞していて、明日の天気がどうでということに微塵も興味が持てなかった。友人たちの何人かは私に連絡をしてきたが、「ごめん。その日は都合が悪い」と断った。読んだ本で気になるところはポストイットを貼って、赤線でメモをした。本は使い倒すものだと思っているので、汚れることも気にしない。卓上で読んでいて疲れたらソファーで読み直した。「今日はGWの何日目だろう」ということもわからずゴールデンウィークは終わった。

ゴールデンウィーク明けには同僚たちから「何をしていたの?」と聞かれたが「ゆっくりしてたよ」と応える。そう答えれば、人は「聞かれたくないんだな」と聞いてこない。同僚たちのハワイやお台場の話を聞くと、少しは「良いな」と思うけれど私にとっての優先順位は明確に第一に仕事だから、そこまでダメージは受けない。人生の優先度さえ明確にしていれば、あまり他の人に影響はされない。ヒルズのテラスが気持ち良い中華でランチを食べながらそんなことを思った。

それから7年経った。あれから6度のゴールデンウィークを得た。バリもいったし、ニューヨークもいった。彼氏がいたGWもあったし、友達とすごしyたGWもあった。でも、不思議と、今「GWといえば」で思い返すのは、あの7年前の誰とも合わなかったGWだ。当時は「辛い」とは思わなかったけれど、いまあのような日々を過ごせといわれると、辛いなと思う。でも、だからこそ、あの日が記憶に強く残っているのかもしれない。誰かがいったように「大変だった日々こそが、今思い返すと良い思い出になっている」という言説は何かしらの真理なのかもしれない。

あのGWの勉強が、結果的にどれだけ意味があったかはわからない。あの時に勉強したことが直接仕事に役立ったわけではないからだ。ただ、あの時、「私の優先順位の最上位はこれだ」と信じ切って、踏ん張った自分は事実で、その踏ん張りが今の私を支えているのは事実だ。

嫌だなと思いつつも、またいつかあのようなGWを過ごしてみたいな、とたまに思う。