寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

偶然の再会

そんな場所で再会するとはおもっていなかったから、ミキと私は意気投合をした。そして彼女も一人旅だった。彼女は4月から新しい仕事を任されて、それがなかなかうまく行かず苦労をしていた。その息抜きに清里に来ていた。私は私で、彼女と別れたばかりでぽっかり空いたゴールデンウィークに家で一人もいるのもなんだからと長野にドライブに来ていた。

そして偶然、山奥のカフェで出会う。ガイドブックにものっていないようなカフェだ。とはいえアイスコーヒーは美味しく、そこのクロワッサンは美味だ。食べログの評価が高いから、かぶるのは「ありえない」ということはないけれど、とはいえ、10年以上ぶりの再会が、そんなカフェとは、思わずカフェで大声を出してしまうほどの驚きだった。

結局、そのカフェで2時間はいただろうか。中学校からのお互いの近況を語り合うには、それでも足りないほどだった。中学校の頃は特に意識をした相手ではなかった。特に顔が整っているわけでもないし、特に秀でた点もなかった。ただ、勉強はできた人だったので、何度かノートをコピーをさせてもらったことはある。彼女はそのまま学区の進学校に進み、僕はその2つ下くらいの高校に進んで、それからは再会するまでもなく今まできた。だから、カフェでミキに「ササキ君?」と呼ばれた時は、相手が誰だかわからなかったのは僕にそこまで落ち度があるとはいえない。

中学校時代はそんなに共通点があったとは思えないけれど、30を手前にした今だと、思わず、多くの共通点が生まれていた。音楽、趣味、そして、旅行の好み。ちょうど行きたいコンサートに行く相手がいないこともあり、彼女を誘ったことが再会の次の予定となった。

彼女と別れたばかりというのもあったのは否定しないけれど、ミキと付き合うまではそんなに時間がかからなかった。コンサートにいって、食事にいって、そして、4度目のデートで恋人の関係になった。

もし、それで終われば、偶然の再会によるいい話になったんだろう。実はそれは偶然ではなく、彼女が全部、設計した偶然だったということを知らなければ。結果的に「とはいえ、仲の良いカップルになれたんだからいいじゃない」という人もいるだろう。しかし、相手のことを信用できなくなった関係性は長く続かない。だから、私はあなたに言いたい。連休で、もし偶然の再会があった人は、その偶然は本当に偶然なのかもう一度、確認した方が良いと。