寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

見えないものが見える彼女

「ねえ、あれはしし座かな」と彼女は夜空を指さしていった。星座の授業にまったく興味が持てなかった俺は、「ああ、そうなんだ」としか言えなかった。せめて北斗七星くらいだったらわかるのだけれど、、。

そして、付き合って一年目の記念でいったレストランでは、「この曲好きなんだ。記念日にこの曲が聞けてうれしい」とBGMで流れるクラシック音楽に対してそう言った。それからクラシックは頑張って聞いてみたけれど、どうも好きになれずにやっぱりJpopに戻ってしまった。

その前は、2人で初めていった海外旅行で、「あ、これプルメリアだよね。なんだかバリって感じがするね」と言っていた。僕は、プルメリアという単語さえも初めて聞いたので「そうなんだ。プルメリアっていうんだ。きれいだね」ということが精一杯だった。帰国して、Googleで検索して、初めてそれが、熱帯の代表的な花だとしった。

彼女には俺の見えていない世界が見えているんだ、と思った。海外の人は、日本の秋の鈴の音が雑音にしか聞こえないというのは聞いたことがあるけれど、そんな感じで僕も、絵や建築や音楽、星座などは全部同じようにしか見えない。でも、彼女はその差をわかるし、そこに何かの意味や新しいものを見出している。

ついに僕じゃ彼女に言った。「ミサキは俺なんかと一緒にいない方がいいんじゃないか。俺は花や絵なんかもわからないので、ミサキと話をあわせることもできないし、つまんないよ。俺は何も特技も知識もないし」と。

ミサキはこう言ってくれた。

「私はテツヤ自身が見えていないあなたのいいところをたくさんしっているよ。だから私はあなたといて幸せだよ」と。彼女はやっぱり俺の見えないものがたくさん見えているみたいだ。