寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

誰かへの乾杯

金曜日の夜。ガーデンプレイスで待つ友人の元に向かう。駅からガーデンプレイスまでの歩く歩道は、普段は疎ましいけれど、なんだか今日は気分が良い。うっかり西口から出てしまったけれど、空気が気持ちよくてそのまま外からガーデンプレイスに向かうことにした。

大学時代からの気の置けない友人たちと数ヶ月ぶりの会合。男2人に女3人。こんな飲みができるのもあと数年だろう。5年もすれば、みんな子供を持って、家庭を持って、飲みには出てこないだろう。もっともいまのご時世を考えると、結婚できる確率の方が低いのかもしれないけれど。

恋する相手ではなくても男性と飲みに行く時はやはり女同士とはやはり違う。下着にまで気合を込めるまではいかないけれど、いつもより数分はメイクの時間はかかっている。その割には、外を通り、10分も歩いて汗をかいている自分がいる。そんな一貫性のない自分がなんだか楽しくなり、金曜日のテンションを謳歌する。

東口の喫煙所でタバコを見ながら周りを見渡す。周りも金曜日を謳歌してるだろうか、してくれたまえ。喫煙所の近くのベンチで1人の女の子に目が止まる。いわゆるリクスーというものを来た女性。化粧っけも薄く、メガネがなんだかやぼったい。おもそうなカバンを抱えている。きっと就職活動中なんだろう。恵比寿の会社の訪問の帰りなのかもしれない。この時間にベンチでほうけているということは、今日は花金は謳歌できないのだろうか。

勝手に彼女の気持ちを斟酌して、少し憐れむ気持ちになる。ただ、同時に思う。まぁいつか自分も彼女のように、ベンチでため息をつくだけの金曜日を迎えることもあるだろう。未来の彼氏にふられた時かもしれないし、仕事で失敗をした時かもしれない。そんな楽しめない金曜日を、リレーのバトンのように誰かが抱えている。誰しかもが楽しい金曜日を過ごしているわけではない。でもだからこそ貧乏くじにあたらなかった今日は、金曜日を楽しもう。未来の苦労をする自分に乾杯をしよう。そして、2杯目は、就活中の彼女の輝かしい未来を期待して乾杯してあげよう。いつか私も誰かに乾杯してもらえるように。