寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

寝相で天気を操る女

なぜか私が右側を向いて寝た日は晴れで、左側を向いて寝た日は雨だった。

私が天気によって寝る姿勢が変わるのか、それとも、私が向く姿勢に合わせて天気が変わるのかわからないけれど、いずれにせよ、気づいた頃から、そうだった。

中学生頃のある日、「あ、今日は逆で寝ちゃった」と思う日に限って雨ということに気づいた。それから気づけば、姿勢で天気が分かっていた。起きた時点の天気できまるので、曇はない。雨が降っているか降っていないかだ。雪は雨と同じで左向きになっている。

もし、これで私が自分で姿勢をコントロールできるならば、私は天気を操れるだろう。デートの前の日は万難を排して、右側を向いて寝るだろう。ただ、問題は、「寝た時の姿勢ではなく起きた時の姿勢」が問題なのだ。だから私は起きるまで、どちら向きで寝ているかわからない。

梅雨どきは左側ばかりなので、起きると普段の壁とは、別の風景が目に入る。「ああ、梅雨なんだな」と感じて少ししびれた左肩をさすりながら起きる。

ある日、初めて私の部屋に彼が泊まった日、不思議なことが起こった。シングルベッドで2人寝て、私は壁際で寝た。向かい合って寝た。起きると私は、彼と向かい合って寝ていた。左向きだ。普段だと、これは雨のハズだった。でも、カーテンを起きると快晴でサンサンと梅雨の合間に太陽が私を照らした。

その時の驚きといえば、なんと表現すれば良いのか。自分が今まで信じてきたものが崩れ去った瞬間だった。それは、たとえば地球が実は丸い、ということを知ったようなものだ。その朝、私は信じられなかった。彼氏がいるのを忘れて取り乱す。

「あれ、なんで?いつもと違う、、、」

彼は不思議そうに私の顔を見る。

「どうしたの?でも今日はいい天気だね。俺、起きて左向きの時は必ず晴れなんだよね」

寝相で私は彼に負けたようだ。