僕たちの大好きな銭湯 - 眠る前に読む小話

銭湯の歴史は長い。古代ローマまで歴史を遡るとすれば、紀元前500年前後。すなわち2500年の歴史がある。

そんな銭湯の裏話を今日は話をしよう。

たとえば、銭湯の価格には、上限が決まっているとご存知だろうか。たとえば神奈川では470円である。

しかし、人気のある銭湯でも多くて1日100人前後。そうすると、月間の売上は150万。地代や水代、何より人件費を考えるとなかなか利益は出しにくいように思える。

しかし、案ずるなかれ。銭湯は、滅びてはいかん、という国の思いがある。それゆえに国からの助けがあるのだ。まずは税金として、固定資産税は三分のニが免除される。また、水道代も上限が決められている。なお、これらはスーパー銭湯には適用されない。同時に金額の上限もスーパー銭湯は適用されないため、1000円以上の価格が存在するのだ。また場合によっては、地方自治体が入浴券を買い上げる場合もある。

そのような背景から、銭湯は、他の業態に比べて、生き延びやすくなっている。

とはいえ、いまはスーパー銭湯に客は奪われ、そんな楽な商売ではない。廃業する銭湯も増え、また、個々の生き延びる策をとる銭湯も増えている。

たとえば、京都では廃業予定だった銭湯を25歳の銭湯マニアの若者が経営を申し出て、経営を行っている。そこでは銭湯でミュージシャンのコンサート会場に仕立てる仕掛けを行っていた。あるいは、エドモンド本田という力士などは、銭湯でファイトクラブをしている。

他にも、津軽には、無人の100円銭湯がある。性善説として、客に入金は委ねられている。もっともルールとして、先に入っている人に100円をみせてから入れるという仕組みはあるようだが。

100円といえば、銭湯には100円を入れて返ってくる無料ロッカーがあるところがあるが、あの100円は売上をあげるための仕組みという説もある。本来、無料のロッカーは無料で良い。しかし、わざわざ100円を入れるということは、何か別の狙いがある。考えてみよう。風呂を出た後で、暑いあなたはロッカーを締める。100円が返ってくる。目の前に牛乳の自動販売機がある。100円で売られている。そしてその100円は自動販売機の中へ。

もちろん意図的かどうかはわからないが、こういう考え方もあるだろう。

心理を応用した話では、大阪にある万博おゆばという湯では、サウナの中にビールのポスターをおいたならば、ビールの売上が6割もあがったそうだ。

このように、入浴料が上限で決まっているならば、他のもので売上をあげるしかない。ある調査によると健康ランドの売上のうち、入館料は全体の4割程度で、残りは飲食やマッサージの料金だという。このように、入浴料以外の売上をあげる方法も生き延びる施策の1つだろう。

他には、ブダベストの公衆浴場では、銭湯が本来の目的とは別の使われ方をしている。男性同士の出会いの場として利用されているのだ。もちろんこれは銭湯の意図かどうかはわからないが「銭湯に別の価値を付与する」という戦略の1つとしては、参考になるだろう。

もし「近くに銭湯あるけどいったことないな」という方がいらっしゃれば、一度、いってみられてはどうだろうか。そこには、銭湯のたゆまぬ営業努力の後が見られるかもしれない。

■参考URL

«銭湯 - Wikipedia

«銭湯、客数減でもなぜ潰れない？多額補助金、水道料金実質無料、税金免除… | ビジネスジャーナル

«なぜスーパー銭湯の乱立が起こったのか気になるニッチビジネス稼ぎのカラクリ：PRESIDENT Online - プレジデント

«なぜ銭湯は潰れない？利権と補助金まみれ、脱税横行のあきれた業界の実態～銭湯店主が激白 | ビジネスジャーナル

«NHKドキュメンタリー - ドキュメント７２時間「冬・津軽　１００円の温泉で」

«サウナの梅湯・湊三次郎がノンフィクション！場所や瓶ジュース・イベントを紹介！ «『テルマエ・ロマエ』から導く、「銭湯」の新ビジネスモデル (1/2ページ) - ビジネス・シネマ考：日経Bizアカデミー