眠る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです。最近テクノロジーをテーマにしたものに凝ってます)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます あとスターも励みになります!

性転換させるバクテリア「ボルバキア」に感染した人類

2030年、ボルバキアというバクテリアが人類を恐怖に陥れた。そのバクテリアに感染すると、男性は女性となってしまうのだ。

それまでボルバキアが感染するのは昆虫だけだった。それに感染したオスのハチはメス化し、そして、精子なしで子孫を生む身体に変わる。バクテリアは、その子孫を通じて、自分の存在を子孫にまで広げる。なぜオスをメス化するかというとオスの精子にはそのバクテリアが入り込めないため、彼らにとって精子は悪であり、オスは敵なのだ。そのようなボルバキアの生存戦略によって、昆虫はメス化していった。

そのバクテリアがとうとう、人類にまで感染し始めたのだった。それに感染した男はゆっくりと時間をかけて女性化していった。ひげが薄くなり、胸が出てきて、身体が丸みを帯びていく。約3年で女性になりきった。そして、感染したものは、性欲が旺盛になった。なぜなら寄生したバクテリアが子供を残そうとする意思からだった。満月の夜になると、感染した女性は、男性を求めて町に繰り出すことになる。そして、性欲が強そうな男にアプローチを仕掛け、妊娠を誘った。相手は誰でもよく、まるで「淫乱」とでもまで呼ばれるような狂乱が世界を支配した。まるで、アダルトビデオの世界のような出来事が人類に訪れた。

そのバクテリアは爆発的に広がり、30年をかけて、人類の1割にまで感染することになる。しかし、その後に、結局、そのバクテリアは死滅した。なぜか。

それ以上、感染を増やすことはできなかったからだ。感染した人は、結果敵には、バクテリアの意思で妊娠をすることを拒んだ。「恋をしたいのだ」という人の意思は、バクテリアに支配して性交をすることを拒んだ。バクテリアの意思よりも、人の「恋愛」への志向が勝ったのだ。

馬を水飲み場まで連れて行くことはできるが、水を飲ませることはできない

ということわざの通り、バクテリアは「恋をしていない人を性交」させることはできなかった。たとえ、町に繰り出させることができたとしても。

こうして人のドラマのような恋に憧れる価値観は、バクテリアの魔の手から人類を守った。

 

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以下の記事から発想を得ました

 

natgeo.nikkeibp.co.jp