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寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

LINEの返事屋

私が、「LINEの返事屋」を始めたきっかけはカオルの助言だった。「ミサのアドバイスって本当に頼りになる。お金をとれるんじゃない?!」というものだった。

そのカオルの発言のきっかけは、私がカオル自身を助けたことにある。

当時、カオルは、恋人とのLINEのやり取りで困っていた。付き合い始めて1年。昔に比べて、LINEの返事が遅くなり、そっけなくなってきた。既読になっても返信してくれない。

どこにでもある話だ。私の今の相談も恋愛が9割だ。

カオルは言う。

「彼がまだ私と続けたいのかどうか知りたいんだけど」と。そういった明確な知りたいことがあると話は早い。私はカオルの今までのやり取りを見る。テキストでエクスポートしてもらって、最初から最後まで一週間かけて、全部の文章を見た。

そして、会ったことのないカオルの彼氏のプロフィールを想像する。思っているよりもテキストの文章はずっとその人の性格や個性を表すものだ。それに加えて、LINEのやり取りでわからなかったことは、カオルに聞いた。家族構成や今までの恋人の経験なのだ。

そして、私はアドバイスをする。

「彼に『来週末に友達とキャンプいってくるよ』と送りなさい。すると、彼は『誰と』と返してくるから、『友達と』と返すの。そうすると、『誰?』とかえってくるから、私の名前と、他に男性が何人かいるということを匂わせなさい。そこで、その人はきっとあなたのキャンプを引き止めるようなことをいってくるから。たとえば来週は映画を一緒にいきたかったんだけど、とか。」

そうして、彼女は実際にそのLINEを送り、ほぼ想定したとおりのやり取りになった。

彼はカオルと別れたいのではなく、結局、マンネリしていただけなのだ。だから他の男の影を出せば、慌ててこちらに気が向く。あとはカオルが距離を近寄りすぎないようにうまくコントロールすれば、彼から距離は近づけてくるのだろう。

彼とカオルの今までのLINEのやり取りを見ていると、ここ1か月はカオルの一方的な恋愛表現ばかりだった。そして、彼はカオルの行動をいちいち口出しすることがあった。それは要するに束縛はしておきたいのだ。カオルの外出時に写真を送らせる素振りはその最たるものだ。

それらを考えると、LINEで打つ手は見えてくる。彼を焦らせればいいのだ。

こうして私はカオルからの絶大な評価と共に、LINEの返事屋を始めることになった