寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

イタリアの借り

イタリアの震災のニュースを見ていた。もし、この震災がイタリアのものじゃなければ、立ち止まらなかったかもしれない。しかし、イタリア、と聞いてミドリの脳裏に引っかかるものがあった。

イタリアの田園都市の古い遺跡が地震で壊されている風景を想像した。震災が起こったのは都市だったのか田舎だったのかわからない。ただ、ミドリの脳裏にそれが映った。もしかすると、ミドリの記憶にローマ帝国の小説の話が頭にあったからかもしれない。あるいはテルマエ・ロマエかもしれない。それらの記憶から形成されたパルテノンやコロッセオなどの遺跡が地震で崩れていた。

なんだか心がもやもやとした。日本ではない、というだけで簡易的にしか放送しないニュースに憤りを覚えた。なぜかイタリアだけに肩入れするのも他の国に申し訳ないと思いつつも、なんだかイタリアは人事には思えなかった。

ああ、私がパスタが好きだからかもしれない、とミドリは思う。

ピザやパスタに私はお世話になってきた。女子会では、天井の高い自前の釜があるピザ屋でピザを食べた。デートでは、トスカーナのカウンターイタリアンが美味しかった。仕事終わりに同僚とはイタリアンのファミレスのカプレーゼを愛した。多くのイタリアンの思い出が浮かび上がった。

和食以外だったら、もっともイタリアンにお世話になっているからかもしれない。

マルガリータのバジルが震災の瓦礫で潰されているシーンを想像した。ロックフォールを作るための羊が怯えているのを想像した。

イタリアがない世界を想像して、怖くなった。世の中にイタリアンがなかったら、それなりに味気ない世界だったろう。雨の日に何を家に宅配してもらえばいいんだ。会社のランチで、さくっと食べれる料理がなくなる。

少しでも募金しなくちゃ、と思った。私はイタリアに借りがあったんだ。

もしかしたら来年、イタリアにいってみてもいいな、と思った。ありがとう、ってイタリア語でなんていうんだろう。とりあえず明日、ランチでマルガリータを食べてみようかな、と思った。イタリアの借りはどうやって返そうかな。