眠る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです。最近テクノロジーをテーマにしたものに凝ってます)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます あとスターも励みになります!

コーヒー好きな男

コーヒーが大好きな男がいた。いつもコーヒーを飲んでいた。朝、出社する時にコンビニのコーヒーを買う。昼ご飯の時は帰り道に缶コーヒー。休憩時間にはスターバックス。夜は、自分でドリップしたコーヒー。

人生でもっとも悲しいことが、コーヒーガムがなくなったことだそうで、イギーならば共感してくれるだろう。

コーヒーであればなんでも良いらしく、たまにコーヒー豆をかじりながら仕事をしている。コーヒーがうまれた国といわれているエチオピアにもいったことがあるらしく、そこでコーヒーを入れるコーヒー・セレモニーという儀式まで習ってきていた。なお、クラブにいくとコーヒールンバを踊る。

当然、ドトールでのアルバイトの経験もあり、いまの仕事もコーヒーメーカーを売っている。ただ発音は「コウフィー」であり、周りから「リビアの革命家か」と突っ込まれている。

ただ、彼がコーヒーをコーヒーと認識しているかは微妙で、以前、友達が悪戯で、彼のコーヒーカップに麺つゆを入れたのだが、それをごくごく飲んでいた。ただ、甘さが足りなかったようでガムシロップを入れて飲んでいた。実際、たまに蕎麦にコーヒーを付けて食べていることもあり、彼の中でそばつゆとコーヒーはあまり変わらないもののようだ。

「いつ飲むコーヒーが美味しいの?」と聞いたら、3番目が食事の後。2番目が喉が乾いた時、そして1番目が朝、起きた時ということで、タバコの美味しい時と一緒だな、と思った記憶がある。しかし、彼は起きて、いかに早くコーヒーを飲むかが重要らしく、わざわざ寝室にコーヒー用の冷蔵庫をおいてあるようだ。水筒に入れればいいのだが、彼なりに何かしらコーヒーへのジャスティスがあるのだろう。

ドリップのコーヒーにも凝っており、最初はフィルターの折り目を調整するだけだったのだが、最近はフィルターさえも自前で作るようになっており、以前はフィルターがない時は自分のワイシャツをフィルターにしてコーヒーを飲んでいた。もはや、彼の血管を流れるのはコーヒーではないかとも疑っている。

そんな彼も恋人ができた。しかし、1つ大問題があった。その子はコーヒーが嫌いだったのだ。匂いさえも嫌いだった。

彼女は言った。「コーヒーは1日、1杯までにしてくれないと困る」。

悩んだ彼は、翌日から中華鍋でコーヒーを飲むようになったとさ。めでたしめでたし