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寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

たまに同じ日が繰り返される国

その国では、たまに同じ日が繰り返される。たとえば、8月31日が終わり翌日が9月の1日だと思ったら、もう一度、8月31日から始まる。

1年に1度くらい起こるので、みなは「ああ、また繰り返しか」と思い、同じ日々をうんざりしながら過ごす。なぜこういうことが起こるのかわからないが、一説によると「世界にもたまにはバグくらい出るのだろう」と言われており、みなはそれに納得している。世界に設計ミスがない方がおかしいのだ。

しかしながら、自分だけが同じ日を繰り返す場合は、自分だけが未来を知ったうえで動くことができる。たとえば、事故を避けたり、株で儲けたり。しかし、その国では、「全員が、同じ日の繰り返しだと認識しながら、同じ日を繰り返す」ことになる。そうするとどうなるか。

繰り返し日は、同じ日とは微妙に異なるのだ。

たとえば、本来、株があがる日だとしたら、それを皆は知っているので、今度は株を買おうとする。すると、予定よりも早く株が高くなりすぎてすぐに下り始めてしまうのだ。

また、「事故を起こす」とわかっている人は他の道を通ることになる。すると、今度はその道でまた新しい事故が起こるかもしれない。お漏らしをするとわかっている人もおしめをしながら出るので大損害は避けることができる。

そうして「同じ日だけど、少し違う日」が繰り返されることになる。

「その日に病気で死んだ人」は、持て余す1日を過ごすことになる。死んだと思ったら、その日の朝からやり直すことになるからだ。そして、「今日、これから自分は死ぬ」とわかっていて、朝から1日をやりなさないといけない。それは、なかなかつらい。暴れる人も多いが、たいていは遺書などを書いて過ごす。

恋愛でも不思議なことが起こる。たとえば異性に「告白」をして振られたとする。すると、その日がまた繰り返される。しかし、振られるのがわかっているので、もう告白しない。すると、「告白したことがないのに振られたことはある」といったような心境が残る。これを人は「消えた失敗」と呼ぶことにしている。

映画などのエンタメ業界も辛い。「1日目で映画を見たから、繰り返した日には見ないでいいや」と映画やテレビは見てくれなくなる。しかし、売上は、繰り返した日に計上されない。大損害である。

なお、これらの統計データで一番おもしろいことがわかったのが、スポーツである。オリンピックでは、同じ試合が繰り返されても、同じ結果になったものは7割しかなかった。残りの3割は違う結果になるのだ。これはいかに世界上位の戦いは、実力僅差の戦いかわかるであろう。

なお、犬は同じ日が繰り返されたとしても気づかずに庭を駆け回り、パクパク草を食べ、水を飲み、人生を謳歌する。その姿を見て、犬を飼う人が増えたそうだ。

「今日は何日かなんて気にせずに生きる」というのが、昨年のペット業界のキャッチコピーとなった。