読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

A型の彼女と最新のナビ

「家を出る時は電気を消して!」

何度、彼女に言われたことか。今までの彼女にはそんなことを言われたことがなかった俺にとって、彼女の小言は、「うるさいことを言う人だな」と感じていた。

「パジャマはちゃんと畳んで」

「起きたらベッドの布団はめくっておいて。汗がこもらないように」

「お風呂の桶は使ったら裏返しておいて。カビがはえるから」

と、事あるごとに「改善」を求められた。初めてのA型の彼女だったから「A型は神経質って本当なんだな」なんてことも思っていた。

そんな中、2人で遠出をすることになりレンタカーで出かけることに。

レンタカーを使う人は知っていると思うが、レンタカーによってナビの当たりハズレがある。バカなナビはとことん馬鹿なのだ。

- 高速道路と一般道路の区別が下手くそ

- 高速道路の分岐の指示をしてくれない

- 最近の地図の情報が入っていない

などなど。最新のナビはそれらの問題が全て解決されている。ただし、最新のナビにも欠点があって、小言が多い。

- 速度超過をしたよ。スピード緩めて

- 急発進や急ハンドルが多いですよ

- 運転しすぎですよ。休憩したらどうですか

- 渋滞があるから違う道に行きますか

などなど。

スピードを少し出すたびに「スピード超過だよ」と言われるのは、非常にうるさい。うるさい、のだけれど、なんだか心地よいのも事実だ。自分の至らなさを指摘してくれるのは、いらっとするものの、その指摘が正しい以上、受け入れざるを得ない。なんだか大きな存在に見守ってくれているような気持ちになることができる。

ああ「彼女も一緒だ」と気づいた。彼女の小言は、彼女が好むやり方に僕を従わせるという側面はあるだろう。ただ、別の側面として、俺のことを心配するからの小言も多い。

- それらは栄養価が少ないから、あんまり食べない方がいいよ

- 運転で疲れてるんだろうから、ちょっとサービスエリアで休憩しよう

- 風邪引いた時はササミのおかゆが良いから、これ食べて

そのうるささがいつしか頼りがいのあるものとなる。

- 僕の人生ももう少し彼女にナビしてもらおうかな

と、ひとりごちた。