ロッカーに「ロッカーで良かったこと」を聞いてみた
ロッカーの中から世の中を眺めていると、たくさんの人の日常が見える。
旅行者、学生、会社員、OL。多くの人はこれから何か用事に行く時に「大きな荷物が邪魔だから」といってロッカーを使う人が多い。主には旅行者が多いかな。
使われ方は変わらないけれど、使い方はますます便利になっている。昔のようなキーだけではなく、暗証番号やSUICAでのキーを使うこともできる。最近では冷蔵機能の付いたロッカーもできてきている。
ただ、悲しいことに、まれに犯罪に使われることもある。1974年には爆弾がロッカーに仕掛けられたし、アダルトのDVDや薬の受け渡しに使われることもある。暗証番号さえあれば誰でも開けるからだ。また1973年ごろには、新生児がロッカーに預けられた。その事件をモチーフにした小説を村上龍は「コインロッカー・ベイビーズ」として出版した。
ただ、そんな使われ方はごく1部だ。基本は、みんなの笑顔が見られる仕事だ。
ロッカー業の面白い点としては「人は2度くる」ということがある。つまり、預けた人は、荷物を取りにかえってくる。「あ、この人、素敵だな」と思える人がいたら、また会える。それを楽しみに頑張れる。それがロッカーとしての嬉しさだ。
ただ、悲しいのは、「預ける時」は、みんなたいてい笑顔なのだ。多分、これからお出かけをするのだろう。だから、笑顔になる。対して、取り出す時は悲しい顔をする。すわなちデートや観光が終わった後だからだろう。それがロッカー業の悲しいところだ。悲しい顔のまま、送り出さないといけない。
ロッカー業界でもっとエリートなのが、ジムのロッカーだ。なぜなら、ジムのロッカーは、預ける時は顔は暗いが、取り出す時は晴れやかな顔をしている。前述の表情とは逆だ。だからジムのロッカーでは、ロッカーは、気持ち良い気分で人を送り出せる。
「おかえりなさい。いってらっしゃい」と、送り出せるロッカーなのだ。