眠る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです。最近テクノロジーをテーマにしたものに凝ってます)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます あとスターも励みになります!

いともたやすく行われるえげつない行為

ドラマの『逃げるは恥だが役に立つ』を見ていた。

主人公はある夫婦。ただし、恋愛結婚ではなく、契約として結婚した夫婦が主人公だ。いわば偽装結婚、仮面結婚。

そのことがある人(百合さん)にバレそうになる。妻は、「隠すのが大変だから、ある人に本当のことを言おう」とする。

それに対して、夫がこう言う。

百合さんに本当の事を伝えるのは、百合さんに罪悪感を肩代わりさせることになる

つまり、秘密を打ち明けられた方は、言われたこと(=秘密)を持つことになる。もしこの夫婦の親などに聞かれても「知らないふり」をし続けないといけない。共通の友達にも嘘をつき続けないといけない。

言った当人たちは気が楽になる。ただ、その楽になった責任は言われた人に転嫁されただけだ。

 これに似た話を聞いたことがある。

「俺は、女性とデートをする時は、隠し事ができないんで、嫁に言っちゃうんだよね」

ある男が言う。

身体の関係のない食事ならば、まだ社会的には許されるとしよう。しかし、それでも彼は後ろめたさがある。罪悪感があるから、嫁に言う。

嫁は言われても、それは浮気でないならば「駄目」とはいいにくい。

結果的に、男は自分の罪悪感から逃げるために、嫁を苦しめているだけだ。

人は誰も罪悪感を持っておきたくない。ただ、それは持ち続けるというのも責任なのだ。

「バレちゃうから。隠し事ができないから」という自分の弱さを言い訳にして、その罪悪感を人にぶつけるのは、それはもはや卑劣な行為である。

あなたがしているその告白は、自分が楽になりたいがための暴力な時だってあるのだ。