眠る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです。最近テクノロジーをテーマにしたものに凝ってます)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます あとスターも励みになります!

器の大きい人って?

「ねえ。タカさん。こないだコンパで女性陣に好きな男性の条件を聞いてたんですよ。それで多かった答えが『器の大きい人』でした。

器の大きい人ってわかるような、わからないような、難しくないですか。『身長が高い人』とか『優しい人』ってわかるけど、『器が大きい人』って。わがまま聞いてくれたりする人ってことなんですかね」

「器って、許容力なんだよ。器に入るのは想定内のことばかりじゃない。それ以外の失敗であったり、想定外の出来事であったり、プレッシャーの大きいことだったり、自分が受け止められないようなことが起こる。それを焦らず、しっかりと受け止められる力が器の大きさなんじゃない」

「なるほどー。でも、それって、どうやったら大きくなるんですかね。生まれつきなんですかね。なんだか性格に近いから生まれつきのような気がするんですが」

「生まれつき器の大きい人間はほぼいないよ。もしいたら、それは鈍感というだけだよ。

器は、自分で大きくしないと大きくならない。失敗や痛い目をみながら。

たとえば、女の子と喧嘩をしたとする。それに対して何も考えずに『悪かった』というのは違うんだよ。女の子が怒っている理由も理解して、それに対して、いろんな自分の向き合い方があって、どう向き合えばどうなるかを理解して、その上で、お互いがシワ背になる向き合い方をしないといけない。それって生まれつきなんてできないだろう。

それは、結局、『自分も怒った』とか『とりあえず謝った』とかいろんなやり方を試行錯誤して、やっと、どうなるかわかるんだよ。器ってそういうことだろ。いろんなパターンが詰まってるんだよ」

「じゃあ、器って自分で大きくできるんですね」

「そうだな。ただ、今ある器をろくろみたいに大きくするんじゃなくて、割って、また作り直して、ってことなんだよ。一度0にして、また作り直す。その作り直したものは前よりは少しだけ強くなってる。それが器を大きくするってことなんだ」

「じゃあ、まずは器を割ってくれる人を探さないとですね」

「そうだな。幸いにして、器を割るのが得意な人は少なくないかもしれないが」