寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

砂漠のバラ

砂漠のバラって知ってる?

違うわよ。その銀座のお店の店名も砂漠のバラだけど、それはもう閉店したでしょ。あと実際に「砂漠のバラ」という花もあるらしいけど、それでもなくって。

「砂漠のバラ」って、ちゃんとした単語なの。Wikipediaにものってるわよ。

自然に石や結晶などでできたものがバラに見えることがあって、それらを砂漠のバラって呼ぶらしいの。

ほら、こんなの。

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きれいでしょ。石でできた花みたい。

サハラ砂漠でよく取れるらしいの。サハラ砂漠にはなんでもありそうよね。あとアルプス山脈では実際に赤いのもできるらしいよ。

名前からしてロマンチックじゃない?"砂漠のバラ"なんて。砂漠なんてバラどころか花や木も咲かなさそうじゃない。なのにバラ。

でもね。この砂漠のバラにはもっとロマンチックなことが秘められているの。

これって「もともとこの場所に水があった」という証なんですって。

この結晶は水に溶けた成分からできているらしいのね。だから、水がなかったところからはできないの。この砂漠のバラがあるということは、昔、水があったということらしくて。

過去の栄光が、こんな風に咲くってなんだか素敵じゃない。ツワモノどもが夢の跡というか。

それって、私達の関係もそうだな、って思っちゃった。私たちが今、久しぶりにこうして会って楽しめるのも、昔、付き合って深い関係にあったからじゃない。水があったからじゃない。温泉にいったり、喧嘩したり、仲良かったからからこそ、いま、こうやって楽しめるだな、って。

だから私たちは砂漠のバラなの。

ねぇ、ちょっと。襲わないから!チェイサーなんて酔い覚ましを飲まないでよ。水が干からびて砂漠のバラになるんだから、水なんて飲まないでよ。

※画像はWikipediaより

»File:Desert flower.jpg - Wikimedia Commons