寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

クリスマスソングが鳴る頃に

「あ、いつもと何か違う」

思わず周りを見渡す。夜20時のマンションのロビー。

ふっと立ち止まって気づく。音楽が流れている。

耳をすますと、それはクリスマスソングだった。名前もしらなけれど、よく街で流れているクリスマスソング。「去年もながれてたかな」と独り言ちながら、エレベーターのボタンを押し、エレベーターを待つ。

「みんながみんなクリスマスを楽しみにしてるんじゃないんだぞ」と思いながら、エレベーターを待つ。恋人がいない自分にとっては、クリスマスソングは必ずしも幸せの歌じゃない。

それから数日後。仕事で残業。帰ったのは26時。タクシー帰りだ。

くたびれた身体でマンションのオートロックで鍵を空ける。手にしたコンビニの袋がなぜかいつもより重く感じる。

そんな時にまたも聞こえてくるクリスマスソング。前回のBGMと違って、今回は赤鼻のトナカイ。

思わず「悪くないじゃない」と、感じる私。仕事でくたびれた身体にひっそりと染み込むように入ってくるメロディ。そうか、赤鼻のトナカイの曲は、私にとって楽しいクリスマスと結びついている曲なんだ。子供のころから楽しんだクリスマスを思い出させる曲だった。その曲はまるで私の細胞を刺激するようにしっとりとフロアに流れる。

そして、それから数日後のクリスマスイブ。

私がマンションに帰ってきた時に流れていたのは「サンタが街にやってくる」。

当たりだな、と私は思う。ここでマライアキャリーの恋人たちのクリスマスソングなんて、流れていたら、私は思わず耳を塞いだだろう。でも、サンタがやってくる、っていう曲はいいな。合格だ。その曲には恋人は関係ない。私が1人でいることを何も揶揄しない。独りでこれからコンビニのおでんを食べていても、サンタクロースは暖かく見守ってくれるだろう。ぜひぜひ街にサンタにはきていただきたい。

「恋人が欲しい」なんて願わないから、「少し心ときめく出会い」くらいはサンタさんがくれないかな。サンタは子供だけのものじゃないものね。