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寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

クリスマスに1人で吉牛

どんな人が好きなの?と聞かれて、「クリスマスに1人で吉牛を食べるような人」と答えたことがある。

それは、ウケを狙ったわけでもない。実際の話なのだ。

- 私はクリスマスに吉牛でご飯を食べるような人を好きになったことがある。

もう5年も前。私はOLで。仕事をしていると1年に1度はクリスマスを迎える。その日はクリスマスが週末にかかった年だった。私は私と同じように恋人がいない友達とクリスマスパーティで過ごした。それはそれで楽しかった。ロマンスもないけれど、悲しみもない、クリスマスだった。

そして、週明けに会社の人たちとランチに行く。「どんなクリスマスを過ごしたの」と上司が話を振る。そして、目の前にいた彼が、「吉牛でご飯食べてました」と答えたのだ。

彼もウケを狙ったわけではなく、ただ淡々と、その言葉をつぶやいだ。周りの人たちは面白がって質問を重ねる。

どこの吉牛?つゆだくにしたの?出会いはなかったの?

それに関しても彼は淡々と回答をする。それを見て、私は「なんだかいいな」と思ったのだ。気取らず、でも強い。

それから1年。会社の飲み会で彼とは仲良くなり、2人でランチも行くことも増え、そして、翌年のクリスマスまでに私たちは付き合うことになった。

彼は言う。「クリスマスどうしよっか」

私は言う。「吉牛いこうよ」

彼は、キョトンとして、「えー。クリスマスに2人で吉牛なんてやだよ。もっと美味しいものを食べに行こう」。

「やだ。吉牛がいい」と私は彼を困らせたくて駄々をこねる。

「わかったよ。でもテイクアウトにして家で食べよう」と彼は降参する。

赤ワインと一緒に食べたその吉牛は、とても美味しかった。

5年前の思い出だ。

今年のクリスマスは1人で吉牛にいってみようかな。好きなタイプばかりがいるかしら。