寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

元恋人と過ごすクリスマスイブ

今年は連絡がないな、と思っていた。「いつもなら、そろそろ連絡があるのに」と12月の3週目くらいからそわそわしていた。

彼とは今までに4回一緒のクリスマスを過ごしてきた。付き合っていた時の2回と、分かれてからの2回。

2年前の9月に分かれてから、1人でむかえるクリスマス。そんな折に、12月の中頃に彼からのLINE。

- 24日って何してる?ご飯いかない?

そして、私は1日、返信を待って、誘いを受諾した。

何も起こらない元恋人同士のクリスマス。都内のはずれのフレンチ料理。店までのイルミネーション。どこにでもある恋人同士のイブの過ごし方だけど、手は繋がない。

ただ、それはそれでとても楽しい時間だった。美味しいものを食べて、近況報告をして、少し恋人同士のふりをして。

去年も同じように、LINEが来た。

- 24日って何してる?ご飯いかない?

私は同じように1日、返信を寝かせてから、その誘いを受け入れた。私も恋人はいなかったし、1人でイブを過ごすのは少しさみしかった。何より彼と過ごすクリスマスイブは楽しかった。

だから、今年も連絡がくるだろう、と淡い期待をしていたのだけれど。結局、24日のこの時間に連絡がないということは、もう連絡はないだろう。

きっと彼にも恋人ができたのだろう。

せめて「恋人ができた」と言っておいてくれれば、期待なんかしなかったのに。

こんなLINEを待ちながら過ごすイブを過ごすことはなかったのに。ひとり毒づきながら、クリスマスを1人でむかえる。テレビもみず、Facebookもみず、映画を見ながら1人でむかえる。

彼女は知らない。彼が彼女に連絡をしなかったのは、彼女のせいだということを。去年のクリスマスに、彼女が自虐を込めていった「来年こそは、お互い恋人と一緒に過ごそうね」という言葉が彼に重くのしかかったことを。

彼はその言葉を深く受け止め「誘わない方がいいんだ」と解釈をした。だから今年、彼女にも連絡をしなかった。

彼女は、まさか、その言葉がそのように受け止められていたなんてしらない。言ったことも忘れていた。だって、酔っ払って呟いたジョークみたいなものだったから。元恋人たちの自分たちを茶化すための定型句のようなものだったから。

それでも、物語は終わらない。

翌年のクリスマスに2人は一緒に過ごすことになる。彼女がジョークで言った通り、「お互い恋人と一緒に過ごそう」という約束も1年遅れで実現される。

そんなことを2人はまだ知らない。