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寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

おみくじで

告白は男性からするもの、なんて古い。そんなの昭和の話だ!、と思うのだけれど、なかなかそうは言っても女性から男性にアプローチするのはなかなか抵抗がある。

だから、ミサキがタカ君に積極的になれないのもわかる。でも、アタックすればきっとうまくいくというのがわかっているから、見ていてもどかしい。カラオケで女性の曲ばかり歌う男の歌声を聞いているみたい。「あー、男性の曲を歌えばきれいに聞こえるのに、どうして難しい女性の曲を歌うんだろう。もったいない」といったような。

だから、「2017年は、タカ君に思いを伝えるようにする」とミサキが言った時は、いいね、と心底思ったものだ。

それまで「その年の抱負」というものが、なんだかうさんくさいと思っていた。そんな抱負なんて新年に決めるものではなく、やりたいと思った時に決めるべきだと思っていたのだ。でも、こうして人の意思決定の後押しになるというのを見ると、「その年の抱負」にも意味があるんだな、と思う。

「じゃあさ、おみくじで大吉が出たら、早速、ご飯でも誘っちゃいなよ」と提案する。初詣の道中ならではの思いつきだ。

「えー」と悩むが、ミサキは最終的に「わかった」という。「ご飯を誘いなよ」というと、心理的な障壁があるけれど「大吉がでたら」という条件をつけることによって、OKする。人間の不思議な心理だな、と思う。「宝くじが当たったら、ハワイに住もう」という人がいるけれど、だったら「宝くじが当たらなくてもハワイに住む努力をすればいいのに」と思う。でも、きっとその人は普段は「ハワイに行きたい気持ち」は胸の奥にしまっているんだろうな。普段からそんなハワイのことを考えていると、この世知辛い日常は生き残れないのだ。だからこそ「宝くじが当たったら」という条件を入れることで、自分の心を自由にする。今回の大吉もそういう効果があるんだろう。

「おみくじをひく神社は私が決めていい?恋愛に効く神社があるんだ」と私は言う。もちろんミサキに異論はない。

そして、ミサキは知らない。明治神宮の後に、私が向かおうとしている新宿の夫婦木神社は大吉の確率がもっとも多い神社だと言われていることを。

普通の神社だと、大吉の確率が約17%。でも夫婦木神社は40%がでるとも言われている。

いつか大吉の確率が80%を超える神社を経営したいな、と思った。そうすれば、もっと多くの人の意思決定の後押しをできるんじゃないかと思った。「大吉がでればプロポーズする」「大吉がでれば独立する」「大吉がでれば、、」って。

私の今年の抱負は、そんな神社の経営について調べてみることにしよう。