寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

頑張ろう

年末にライブがあって参加した。

そこまで大きな箱ではなかったので、ミュージシャンとの距離は近く盛り上がった。内容に何の不満もなく終わった。

ただ、帰り道にふと思い出した。

終盤、ミュージシャンは「来年もがんばりましょー」と叫んでいた。そして、我々も「がんばろー」と返していた。

その自分の言葉を思い返した。気づかないうちに、私は「来年を頑張る」と、あの人たちと約束してしまった。

もちろん、ミュージシャンは数千人という人たちの声を聞いて「よし、この人はがんばるって言った」と言質を取っているわけでもないし、そもそも、コミットを求めてきたわけではない。

ただ、私は、自分には嘘はつけない。

私は自分が「来年も頑張る」と言っていたのを知っている。それは、約束だろう。もし、声に出していなかったらギリギリOKだったかもしれない。ただ、声に出していたら、もうそれは本気だろう。

法律的には、あのような場での「がんばる」発言は、「あれはミュージシャンの掛け声に反応しただけで、契約発言を意図したものではなかった」と動機の錯誤を適用させて、無効にさせてしまう方法もある(そもそも、法律的には契約は二者間以上のものだから自分との契約には適応できないが)。しかし、これは私自身との約束だから、そんな言い逃れできない。

私は自分で口に出したことは守りたいのだ。そして、私はあの時に、たしかにノリではあったけれど「がんばる!」と言った。来年も頑張ろう、と思った。音楽で高揚しながら。

来年、頑張る予定はなかったけれど、私は頑張らざるを得なくなった。「まぁしゃあないか、約束したし」と思う。

ミュージシャン、あなたの何気ない一言が、私の1年を変えました。がんばりましょう。