寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

もしも無意識にテレポートしてしまったならば

子供の頃、「もしも、うっかりテレポーテーションをしてしまったらどうしよう」と不安に苛まれていた。

どこでもドアのような意識的な移動ではなく、無意識の移動だ。ふと気づいたら自分が知らない場所に移動している、とでもいうような。

もちろん、それがアメリカや沖縄なら幸せだ。しかし、論理的に考えて、「空間移動先がちゃんとした空間」であることはまれだ。たとえば、地球は70%:30%の割合で海である。そう考えると、ランダムにどこかの地点にテレポートするならば、海にあたる可能性の方が多い。

さらに、厳密に考えれば、地表に出るというのもおかしい。移動先の高さもランダムだろう。そう考えると、空中や地中にテレポートしてしまうかもしれない。最悪な自体だと、太平洋の水深10キロの水の中にテレポートしてしまうかもしれない。

そうすると寒いし暗いし、変な魚もいそう。

そんなことを考えると、怖くて眠れなくなっていた。いたいけな子供である。

しかも、その想像が恐ろしいのは対処法がないということだ。人に危害を加えられることを恐れるならば、家にこもっていればいい。事故が怖いならば車に乗らなければいい。

しかし「知らない間にもし自分がテレポートしてしまったら」というのは、防ぎようがない。自分が寝ている間もテレポートしてしまうのだから。

ではどうして私はこの不安と立ち向かったか。

- いままで「うっかりテレポートしてしまった」という事例はきかない。仮に100事例くらいはあったとしても、自分に起こるのは100/60億人くらいの割合だ。それくらいで起こったらしょうがない

と考えていた。

それでも、初詣の時には「勝手にテレポートしませんように」と願うのを忘れることはなかったけれど。