寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

炭酸抜きコーラ

普段は、「七夕に願いをなんて、非科学的な」とか思っているのに。いざ風邪をひくと、思わず「ネギを喉にまこうかな」と民間療法に助けを求めちゃったりする。

風邪を引くと、心が弱くなるのだ。

藁をもつかむ思いで、「これいいよ」という話に飛びついてしまう。

エジプトで会った旅行者がいっていた。

「風邪を引いたらコカ・コーラを振って炭酸を抜いたのを飲めばいい」って。実際にどこかの国では、「風邪の時はコーラ」と言われる国もあるらしい。コーラに入っている砂糖の甘さが、風邪を引いた身体に効くのかもしれない。甘酒みたいに。

彼はアフリカをその炭酸抜きコーラで乗り切ったといっていた。「炭酸抜きコーラ」。聞いただけで、こう気持ち悪くなる単語も珍しい。でも、風邪を引いたら、ついこれを飲みたくなる。アフリカの砂漠の端の何もない街の何もない宿で、彼が薄いせんべい布団にくるまりながら、炭酸抜きコーラを飲んでいるシーンを想像して、僕は、なんだか勇気づけられるのだ。

ある時は「風邪にはカレーのスパイスが効く」と聞いて。風邪で食欲もないのにカレーを食べてみる。「味がわからないな」と思いながら。でも、それでも食べたりする。普段は「パワースポットなんて、科学的根拠あるの?」と言ってるくせに。なぜかオクラをトッピングでいれちゃいながら。

風邪を引いた時は、弱っちゃうのだ。特に独り身では、弱っちゃうのだ。

炭酸抜きのまずいコーラでも、ぐいぐい飲んじゃうのである。葛根湯と合わせながら。

風邪をひいている時に営業電話だけは取らないようにしようっと。