寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

ユートピア

この世の中に「ユートピア」ってあるのか、と思った。サウナの名前ではなく、「楽園」という意味のユートピアだ。

楽園でもエルドラドでも呼び名はなんでもいい。ザナドゥでも、理想郷でもいい。

昔、コロンブスが目指した新天地。あるいは、お釈迦様が目指した天竺のような、何か新しい世界を見せてくれる場所は、現代はどこかにあるんだろうか?

現代は、どこかに行きたくなければ飛行機でひょいっといける。インターネットで情報や写真も見ることができる。もうユートピアは残っていないんじゃないか。マイケル・ジャクソンネバーランド以外は。

そんな思いを抱いたのは、いろんなユートピアと思われるところに行ってきたからだ。

沖縄の石垣島では青い空を見て「楽園ぽさ」は感じたが、ユートピアではなかった。10万円以上の風俗はユートピア感を感じたが、刹那であった。恵比寿の高級フレンチロブションも建物からしてユートピア感は溢れていたが、とはいえ、フレンチの域を超えなかった。酒池肉林の世界観ではなかった。ディズニーランドにいたってはユートピアというよりもポートピアだった。

そんなユートピア探しを数年していると、ある情報を耳にした。パキスタンにあるフンザという町だ。

それは「風の谷のナウシカ」にでてくる風の谷にも似た場所だという。桃も咲いていることから桃源郷とも呼ばれているそうだ。その形容だけで心惹かれるではないか。なんとそれはいきたい、と僕は早速バックパックを背負った。会社には3日の有休をとって、3連休にぶつけ6日の旅だ。

というのも、フンザまでは時間がかかる。フンザはまず首都のイスラマバードに行く必要がある。そこからトラックだ。カラコルム・ハイウェイと旅行情緒溢れる名前の道を通り、一泊をかけて、カリマバードという町に着く。そのカリマバードがフンザの中心の町らしい。

あるいは中国から入ることもできるそうで、クンジュラブ峠からも入れるそうだ。ただ冬は入れないため、短い間しか通れない。しかしそれは時間もかかるし、何より寒そうだ。陸路で行くことにしよう。

さすがのユートピアらしく、場所は遠い。しかし、それでこそユートピア感が出るというものだ。

続く