寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

鬼のいない家

節分の時期はいつも憂鬱になる。うちには鬼をする夫がいないから。

私が鬼のお面をかぶってもいいけれど、そうすると娘が頼れる人がいなくなる。そんなトラウマになるようなことは経験させたくない。

クリスマスだとまだいい。サンタは姿をみせる必要がないから、私がプレゼントをおいても娘にはバレない。でも節分は姿を見せないといけない。うちには鬼になってくれるお父さんはいない。

ナマハゲみたいに、町内会のおじさんがうちにきてくれればいいのに。

でも今年はいつもと違う。タカシさんが「鬼をしてくれる」と言ってくれた。仕事帰りの疲れているところ、ありがたい。お陰様で、昨日の節分はうちに鬼がきた。

娘は泣きじゃくって私に飛びついてきたが、最後には一緒に豆を投げた。2人で鬼を退治することができた。

「これで福がくるね」と娘と言い合った。豆の掃除も2人でした。

そして、今日。

「今日は鬼がこないの?」と娘が言う。昨日、あんなに泣きじゃくっていたのに。

もしかして、私が鬼に持ってる好意が娘にも伝わったのかな。

「娘がまた鬼に会いたいって言ってるの。また来てくれない?」って言ったらタカシさんは何ていうかな。お面を外してきてほしいな。