寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

呪いの言葉

世の中には、呪いの言葉がある。

その言葉を言われると、人は動きが止まるという言葉だ。言われた方は、その言葉に苦しみ、寝る前に思い出し、あるいはシャワーに入っている時に思い出し、ひどく憂鬱になる。その言葉は時には数十年に渡って、人を苦しめるだろう。

そんな人の長期的に苦しめる呪い。

それが「あなたと出会わなければよかった」という言葉である。

人は誰しも出会い、時には喧嘩をし、そしてまた別の道を歩いて行く。それを人は「うまくいかなかった恋」や「すれ違いの青春」、あるいは「過去の思い出」と表現する。そうして、人は時には過ちとも呼ばれる過去を抱きしめながら前に進む。

しかし、それを否定するのが「会わなければよかった」という言葉なのだ。その時間を価値に変えることなく、否定されてしまう。

これを言われて、平気な人はいないだろう。自分の存在価値を全否定されることになるのだから。そして、相手への罪悪感さえも被せてしまう言葉なのだから。

そんな呪いを解くには1つの信念しかない。

「あなたに会わなければよかった」という人への罪を背負いながら生きていくしかない。その人への贖罪は何もできない。ただ、罪を背負い前に進む。

そして、「あなたに会えてよかった」と思ってもらえるような新たな出会いをひたすら繰り返すことだ。