眠る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです。最近テクノロジーをテーマにしたものに凝ってます)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます あとスターも励みになります!

シャーデンフロイデ

シャーデンフロイデという単語がある。ドイツ語で「他人の不幸を聞いた時に感じる喜び」を意味するそうだ。

Wikipediaには、

日本語で言う「ざまあみろ」の感情であり、日本でのシャーデンフロイデの類義語としては「隣(他人)の不幸は鴨(蜜)の味」、同義の「メシウマ(他人の不幸で飯が美味い)」という俗語が近い物として挙げられる。

 と表現されている。確かに、「人の不幸は蜜の味」ということなのだろう。そして、それは万国共通なのだろう。

社会心理学の研究でも似たような話を聞いたことがある。人は相対的に人と自分を比べて幸せを感じるというようなものだ。

「自分の年収が700万で周りが800万よりも、自分の年収が600万で周りが500万」である方が快いというような研究結果だった。

高橋英彦氏の本によると、人は嫉妬を抱く対象が不幸になった場合、ドーパミンが放出されるそうである。つまり脳の構造上、人の不幸は幸せに感じるようになっているのだ。

ただ、興味深いことに嫉妬を頂いていない相手が不幸になった場合は同情をする。つまり、シャーデンフロイデは発動しない。

そう考えると、多分、人はそうして心のバランスを取っているのだろう。人は「嫉妬するほど幸せそうな人」に不公平を感じるがゆえに、その人が不幸になると、フェアネスの快楽を覚える。まるでドラマで悪者が退治されるとカタルシスを感じるように。

でも。

でも、私は猫に憧れる。あの自由な人生を、気持ちよさそうな日々を。嫉妬さえする。私も猫になれたならば。でも、猫が不幸になっても嬉しくない。悲しい。

そう考えると、もしかすると「シャーデンフロイデ」の対象は、人に限るのかもしれない。

すなわち、もしあなたがシャーデンフロイデの対象になって友達から笑われた時は、喜んでもいいだろう。

光栄なことに、あなたは周りから「人である」と認識されているのだから。