眠る前に読む小話

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サバイバルゲームは紳士のスポーツ?

サバイバルゲームは紳士のスポーツと言われる。

そもそもサバイバルゲームとは何か。代表的なルールはこのようなものだ。2つのチームに分かれ、相手の陣地にあるフラッグを取るゲーム。攻防では、モデルガンでBB弾を打ち合い、当たったら退場。お互い撃ち合うので簡単にフラッグは取れない。そんなワイルドなスポーツがなぜ紳士といわれるのか。

それは、「当てられた」という報告が自己申告制だからだ。遠い距離からBB弾を当てられても、撃った方も当たったかどうかはわからない。周りもみていなかったら気づかない。そういう時に、自分しか「当たった」とわからない状態で「当たった」と言う必要がある。もちろん当たっても、「当たってない。かすっただけ」と自分をごまかすことができる。しかしそういう人がいるとゲームは成り立たない。だからこそ、「嘘はつかず真摯である必要がある」という点で紳士のスポーツなのだ。

そんなサバイバルゲームのあるチームに女性が参加することになった。

男性がほとんどのゲームの中にあって、女性が参加してくれることはうれしい。だから、男性たちは女性を大いに歓迎する。

結果、このようなことが起こる。

女性は草むらに隠れて、飛び出してモデルガンを撃つ。しかし、急に飛び出すものだから、足がついていかずコケる。恥ずかしがる。

それをみて男性は「コケるというのは恥ずかしいことではない」と、わざとコケまくることになる。まるでスケートリンク上のように。

あるいは、女性が撃った玉には、当たってなくとも当たったふりをする男性が続出した。エア被弾である。

もちろん女性には銃を向けられない。しかし、目の前に女性がいると撃つふりはしないといけない。そこで「うおー」と雄たけびだけあげて、玉は明後日の方向に撃つ人たちが続出した。しまいには「銃の前後を間違った」と自分にBB弾を打ち付ける者まで現れた。自害である。なお、この至近距離でのBB弾はけっこう痛い。

本人に悪意は何もないのに、結果的にサークルクラッシャーになるがごとくのきりきり舞いである。

ゲームの趣旨は相手チームのフラッグを取るということから、「いかに女性を接待するか」というゲームになった。結果、そのサバイバルゲームは皆が吉本新喜劇並にズッコケをし続けるゲームとなった。

もっとも、吉本新喜劇が喜劇ならば、これはある種の悲劇ではあるけれど。