ブルゾンちえみのメッセージが持つパワー
「「ブルゾンちえみ」が圧倒的な支持を得た理由」という記事を読んで、ある友人の話を思い出した。
彼女はシングルマザーで娘がいる。13歳。思春期だ。
その娘とお風呂に入っていると、娘から教えられる。
「彼氏と別れた」と。付き合っていたというのは、数週間前に聞いていた。早熟だな、と思ったけれど、止めるほどもなく静観していた。
でも、数週間で別れるというのは早いな、と母は思う。
理由を聞くと、「私よりも男の子と遊ぶのを優先するから」と娘は言う。かわいいな、と母は思う。でも残念なことに、男は、大人になっても、遊びを優先してしまうよ、と思ったけれど、口には出さない。「そっかー」と母は言う。
娘はお風呂に出て、歩きながら歌う。ブルゾンちえみのネタを。
「味のしなくなったガムをいつまでも噛み続けますか。」
「新しいガム、食べたくない?」
そして、世界にいる35.5億の男のフレーズに移る。
彼女は、自分の心境に照らし合わせて、そのネタを口ずさむ。恐らくブルゾンちえみのメッセージに共感しながら。自分の別れを正当化してくれるこのメッセージを。
もちろん、このネタが彼女の別れを後押ししたとは思わない。でも、それでも、多少なりとも、このメッセージには勇気づけられたのではないか。あるいは、35億の男の存在に勇気づけられながら。
いままでの新興芸人の一発ネタは、メッセージ性がないものが多かった。ラッスンゴレライ、フォー、ダンソン、あったかいんだから〜。
それらに反して、このブルゾンちえみのネタのメッセージ性は非常に強い。この記事にもあるように。そこらのラブソングなどよりも強いフレーズだ。
- 1つの恋愛にグジグジするな。次へいけ
もしかすると、このネタのおかげで日本の女性で、別れを決意した人たちが数人、もしかすると数十人、数百人いるかもしれない。
35億の心強さに。
そう考えると、このネタがもつパワーは大きい。
ただ、芸人もガムように味がしなくなければ捨てられる定め。35億よりは少ないけれど。
味が続くように願っております。