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寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

金曜日の過ごし方

会社の飲み会で、話は恋愛に向かう。

1人の男が懇意にする女性がいる。今まで3回ほど食事に行った。前回は金曜日のデートだった。しかし、何もできなかった。ようやく女性の過去の恋愛の話が話題にでた程度だ。

男はその女性が気になっている。しかし、女性にどう思われているかわからないので、踏み込めない。失敗するのが怖い。恥ずかしい。

次回のデートを誘いたい。来月、彼女がTOEICを受けるので、その打ち上げにデートを誘おうと考えている。

そこで同僚の男がいう。

「お前は何か勘違いをしているんじゃないのか。恋は、お遊びじゃないんだ。戦いなんだ。

お前は戦場で銃を突きつけられながら、『怖い』と背中を見せるのか。『戦って失敗したら、どうしよう』と恥ずかしがるのか。

この世は戦場なんだ。何を勘違いしているんだ。

その子を口説きたいなら来月なんておそすぎる。今週だ。なんなら今日だっていい。

『今日、時間ある?』と連絡するんだ。そして、会うんだ。そして、うまく思いを伝えるんだ。

いい子なら、1ヶ月もあれば他の男に口説かれる。お前は、目の前にあるかもしれない幸せを、ぼけっと見過ごすのか。」

同僚の女が言う。

「言いたいことはわかるけど、タケシ君はそういうキャラじゃないじゃん。草食じゃん。」

「だったら、金曜日に誘うな。

相手を口説かない食事なんか水曜日か木曜日に行け。相手に申し訳ない。金曜日は異性を口説くための曜日として空けておけ。」

「じゃあ、私、今週の金曜日が空いてるの。女性は空いている金曜日をどのように使えばいいの」女が肉をフォークで突きながら言う。

男は言う。「『1人や女友だちと過ごす金曜日なんてまっぴらだ』と思いながら過ごすといい。きっと翌週の金夜には予定を入れたくなってるから」

「そんな金曜日の過ごし方は嫌だから、セイジさんが私の金曜日を埋めてよ」

男は少し考える。赤ワインを一口飲む。

「悪い。俺は週末は会社の人とは過ごさないようにしているんだ。休日出勤になっちゃうから。俺にとっての週末は、金曜日の19時から始まっちゃうんだ。」

 

 

話を聞いていた上司が言う。

「たまの休日出勤も悪くないぞ。振替休日も取れるしな。」

上司が社内恋愛であることを皆が思い出す。

そんな話をしながら木曜日の夜が深まっていく。