読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

グラスをあげておろすまで

先日、以下のようなツイートを見た。

読んだ僕も「グッ」ときた。

というのも、僕たちの人生がここに凝縮されてるんじゃないかな、と少し情緒的に思ったからだった。

グラスをあげて下ろすまで。それが私達の人生。

デートで「再会の乾杯を」とグラスをあげる。そして、まだ中身が半分も残ったグラスがテーブルに残されたまま、舞台はベッドルームに変わる。

飲み会で「乾杯!」とグラスを上げる。そして、どこかのタイミングでグラスが落ちて割れる。宴は終わる。

仕事の大切な打ち合わせの前に、ウォーターサーバから入れた紙コップの水を飲んで気持ちを落ち着けて、グラスを握りつぶし捨てる。

友達と久しぶりの出会いでコーヒーを傾け、中身が冷めるまで過去の時間を共有し合う。

インドでは、寒いバスの待合所で、チャイで身体を温め合う。飲み終わったら素焼きの器を地面にたたきつけて割る。

私達は人生の節々で、飲み物を交わしあい、飲み物を下ろす。

何度もグラスを掲げ、そして下ろす。

ある時、2人は銀座のワインバーにいた。2軒目でほろ酔いで。

- そろそろ帰らなきゃ。

- もう一杯だけ。そのグラスが空いたら帰っていいから。

でもグラスは空にならない。ボトルからルビー色の液体が注ぎ続けられるから。女はそれを知りつつ、グラスを傾ける。

そうして、僕らは、グラスを上げたり下ろしたり。