寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

ファーストキスの呪い

無理やりキスをされた思い出というのは、なかなか消えてくれないものだ。特に、それがファーストキスならば尚更。

小学校4年生の頃だったと思う。よく遊んでいた公園に私たちはいた。4人だった。男の子2人と女の子2人。

前後の文脈は全然覚えていない。ただ、なぜか私とその男の子がキスをすることになった。

確か、男の子が私のことが好きで。

キスの持つ意味合いや概念なんて何もわからない年齢だったけれど、でもキスは特別というのを知っていて。テレビやドラマで見ているからだ。

私はその男の子に何も感情を持っていなかったのでキスなんてしたくなかった。でもゲームかなにかで私が負けて。そして流れでキスをされることになった。

その頃のノリは、子供ながらにあがらいがたく。「やめて!」といえばいいのだけれど、その一言で場の空気を壊すことを恐れて、私はその人とキスをすることになった。

でも、1つ条件を出した。ハンカチの上から、という条件にしたのだ。私の生の唇は、好きでもない人に奪われたくなかった。

そして、私がベンチの上に座った。そしてハンカチを唇の上にあてて。そして、真正面から彼がキスをした。多分、屈んで。

そして周りの2人が私たちを囃し立てた。それがひどく耳障りで。あのときの嬌声は今でも耳に残っているような気がする。

その後、私達がどうなったかは覚えていない。多分、どうにもならなかったのだろう。

ただ、私には、「ファーストキスの思い出は?」と聞かれるとあの時を思い出す。自分ではファーストキスと認めていないにも関わらず。そして、それは10年以上たった今でも私を少しいらだたせる。

不幸な記憶とまではいかないけれど、心を不安定にさせる記憶だ。好きな人でもない人とのキスは暴力だ。それを許した私の弱さにも苛立つ。チクチク私の心を刺激する。

もしそれが同性からのキスではなければ、もう少し心は穏やかだったのかもしれないけれど。