寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

歩みが遅い世界

TumblrというWebサービスがある。記事の投稿や写真の投稿などをできるプラットフォームだ。

このサイトで検索をして、検索結果がない場合、以前はキュートなコメントが表示された。

- とてもいい検索だ。でも、世界がまだ追いついていない

といったような言葉だ。

僕はこれを見て、「そうだよね。僕が少し世界より早く歩きすぎちゃったんだよね」と自分を慰めた。ウイスキーに酔った頭で。

それから僕はこの言葉をたまに使う。

Googleで良い検索結果が見つからなくても「世界が追いついていないだけだ」と。

電車の改札で、SUICAと間違って会社の社員証を出した時も「まだ社員証で改札を通るテクノロジーができてないだけだ」と慰める。

遠くに住む恋人に会いたい時も「まだどこでもドアができていないだけだ」と。

だからこそ、僕はそのような「まだない世界」を作るためにテクノロジーに身を投じる。世界が追いつくように、がむしゃらに働く。

誰かが「寂しいな」と思った時に「あなたは独りじゃないよ」と言ってくれるような世界を。

誰かが「生きるのって辛いな」と思った時に、黙って隣に座って一緒にコーヒーを飲んでくれるような誰かがいる世界を。

恋人と分かれて寂しい夜にもとの恋人にLINEするよりも支えてくれる何かを。

そういう世界を作るために、僕は今日もがむしゃらに働く。