眠る前に読む小話

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2025年、お礼を言わなくなった子供たち

2025年、新聞のある記事が世間を騒がせた。

「お礼を言わない子供たちが急激に増えている」という記事だった。「子供にお礼を言われたか」という定点観測の結果、ここ3年で50%もお礼を言われなくなったということがわかった。

新聞は、いろいろな仮説を検証していた。

- 少子高齢化で、「子供が宝」になっているから、偉そうになっているのだ。だからお礼を言わないのだ

- ゆとり教育のせいだ

- 親の世代がそもそもお礼を言ってないんじゃないか

しかし、その後の研究で、どの仮説も違ったことがわかった。ある国立大学の教授の結果、「あるもの」が家にある子どもはお礼を言わなくなる傾向にあるとわかったのだ。

それは「Alexa」や「Google home」のようなホームスピーカーの有無だった。

ホームスピーカーのある家の親たちは、ホームスピーカーに「OK google, YouTubeをつけて」「アレクサ電気を消して」と、家の作業を代行させていた。

元来、それを人にお願いしたならば、対応してくれたことに「ありがとう」といっていただろう。しかし、アレクサやGoogleホームに「ありがとう」とお礼は言わない。

それを見ていた子供たちは、何かをされてもお礼を言わなくなったのだ。

無人カフェや無人コンビニの普及も「お礼の消滅」に拍車をかけたこともわかった。人がいない場合は、レジでものを買っても「ありがとう」という機会がないのだ。

この研究を受けてGoogleAmazonは「ホームスピーカーに作業をお願いした後はお礼を言うことを推奨する」と述べた