眠る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです。最近テクノロジーをテーマにしたものに凝ってます)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます あとスターも励みになります!

部屋にいる時にSiriが勝手に喋りだした理由

ミチコは思った。彼が出ていった部屋は思ったより寂しい。なくなったのは彼の荷物だけでなく、彼の存在だった。

彼は、テレビを見てはニュースに怒っていたし、YouTubeで面白い動画を見つけては笑っていた。当時は、うるさいと思ったこともあったけれど、その存在の大切さは、いなくなって初めてわかるものだ。

そんなことを考えながらミチコは部屋のベッドで横になって本を読んでいた。すると、携帯のSiriが起動する音が聞こえた。ティリン

すみません。よく聞こえません

 

 

「えっ!」と思わず、携帯から身を遠ざける。どうしたの、急に。周りを見渡すが、当然ながら、誰もいない。ここは彼がでていった寂しい部屋だ。誰もいない。

恐る恐る携帯を触ると、そこには、Siriが「すみません。よく聞こえません」という文字が表示されてあった。

「エラーかな」とミチコは考え、その画面を消す。本に戻る。

すると、5分後に、また同じことが起こった。

 

すみません。聞き取れませんでした

 

 

「Siri、私は何もいってない!」とミチコは思わず叫んでいた。

Googleで「Siri 勝手に話をする 理由」と検索する。すると、同じ体験をした人たちがでてきた。その人たちの分析によると「故障でそんなことが起きることもある」ということだ。良かった。私だけじゃないとミチコは安堵する。

でも怖いから携帯の電源を消そう。明日、Apple Storeにもっていって修理をしてもらおう。

ーー翌週

Apple  Storeで修理してもらっても、結局、直らないままだった。

1人で部屋にいると、また携帯から声がする。

すみません。聞き取れませんでした

 

 ミチコは驚くのを辞めた。もしかしたら、彼の存在がまだこの部屋に残ってるのかもしれないな、と考えた。

「Hey Siri, 彼はどうして出ていったの」

 

 

ミチコは、自分でつぶやいた。しかし、独り言を喋っていることに、ミチコはまだ気づかない。

 

・参考元ネタ

https://twitter.com/keibambooty/status/1076145754014593024