寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

卒業式

・卒業式の時期だね

・そうだね

・卒業式って、学生時代が辛ければ辛いほど、なんだか嬉しいよね。逆に、楽しかったら悲しい。

・そうだね。

・でも、いずれにせよ「もう出ていくのだ」という気持ちの区切りとしては、やはり大切な儀式なんだと思う。これによって、何か過去と決別できるというか。学生時代が楽しくても辛くても、なんだか卒業式は感傷的な気分になることで、その禊を落とすというか。

・恋人との別れに似てるね。ちゃんと別れた恋人は後腐れがないけど、そうでないものはしっくり来ない。

・人生もそうかもね。寿命の人たちは、いわば、死ぬ覚悟で死ねたじゃない。急な事故などでは、人生を振り返られない。いわば卒業式ができないから、気持ち悪さは残るかもね。

・確かに、そう考えると、人生の卒業式は「竿後まで生き残った」という人だけが勝ち取れる権利なのかもしれないね。アメリカの大学に似ているね。大学の入学は簡単でも卒業は大変、みたいな。

・人生、事故や病気や辛いことって色々あるけど、ちゃんと卒業するためには、頑張らないとね。そう考えると、人生って生きる権利だと思っていたけど、ある種の義務なのかもね。卒業によって、やっと安らかに死ぬ権利を得れるというような。

・その時はきっと、辛い人生でも楽しい人生でも、感傷的にはなるんだろうね。

・ただ「死にたくない」というよりも「やっと死ねる」と思える方が幸せに死ねるのかもね。徹夜あけの「やっと寝れる」という時のように

・そう考えると、人生って辛い方がいいのかもね。「やっと死ねる」と思える最後が待っているから