2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧
パイロットになりたいと思ったのは、パイロットは空を飛べるからだった。 九州の山奥に生まれた私にとっては、佐賀市でさえも都会で、福岡は大都会。東京にいたっては見たこともない憧れの地だった。 そんな田舎にとっては、飛行機は、全てから逃げることが…
奥入瀬渓谷に添ってはしる歩道から渓谷の中に入る。数メートルの高さの滝があり、清らかな水が流れる。初夏の緑のコントラストと静かにしっかりと流れる水の組み合わせは、きっと自然界が生み出した比類なき調和の美しさを見せつける。 そこで、私は水の音を…
もやもやする思いを抱くことがある。たとえば、不条理なことを言われた時。たとえば、「上司に言われたことをやっていたら、その上司に『なんでそんなことをやってるんだ』と怒られた時」とか。あるいは、自分の失敗を悔いる時。本来はそんな送るべきではな…
以下の記事によると、喫煙者は前年比0.6ポイント減になったそうだ。 www.yomiuri.co.jp 昨今は、タバコを吸える場所も減っており、吸いにくさは高まっている。また税金は高くなるにつね平均所得も経るので、経済的にも喫煙者には向かい風となっている。 しか…
かき氷が好きだ。 どれくらい好きかというと、夏といえばかき氷しか思い浮かばないほど好きだ。海はかき氷を食べる場所だし、デザートはかき氷かそれ以外でしか考えられない。 主食をかき氷にしてもいい。ただ栄養価が問題なので、野菜を混ぜるといいかもし…
初めてミュシャの絵を見たのは、人から貰った栞のイラストだったと思う。凛とした女性と美しい曲線で描かれたその絵は、中学生の僕の目には女神のように写った。 それがアール・ヌーヴォーの旗手の作品だなんて当日は知らなかったけれど、普段、目にしている…
人は努力をする。たとえば楽器の演奏会であったり、英語のテストであったり、あるいは、恋人と一緒に海に行くためのダイエットであったり。 全力を尽くせば、その結果が望むものと異なっても、納得できることが多い。それは、人間が自分の精神をコントロール…
どうしても見つけたいポケモンがいた。ポケモンGOというゲーム自体への熱量はそこまで高かったわけではない。彼を見つけたい、という思いが私を突き動かした。 もう20年近くも前。私も例外ではなく、近所の子たちとポケモンを遊んでいた。私はいつも使ってい…
初夏の金曜日の夜。行き交う人々の足先も心なしか軽やかで、まるで町が楽器を演奏しているかのように雑踏の反響音がビルの合間にこだまする。「コンクリートジャングル」と呼ばれたのも今は昔。今やコンクリートでさえも色香を放ち、町に彩りを添える。 ここ…
朝、7時30分に1つ目の目覚ましがなる。そして、35分に2回目の目覚ましがなる。エイジは、そのタイミングでベッドから出る。その前の夜に何時にベッドに入ろうとも、起きる時間は同じにしている。起きる時間がずれるとなんだか起きれないのだ。もちろん寝る時…
雨が降る日が続いて、人はそれを梅雨と呼ぶ。そして、また晴れる日が続いて「梅雨がそろそろ明けたかな」と思ったら、雨が降る。そして、気づけば、雨の降る日がまばらになり、晴れた日が続く。ふと気象庁から「梅雨明け」の報道が一足遅れで入る。 夏がくる…
夏のセールの季節である。 セールは心理戦だ。たとえば「セールの服は買わないようにしている」という人がいる。これは、セールで売られている服だと選択肢が狭まるので、気にしないようにしている、という青山在住の慶応大学生女子が言っていた。 とはいえ…
お台場という場所がある。海沿いの埋立地だが、多くの遊戯施設が作られており、東京のちょっとした観光スポットとなっている。 行き方はいくつかあるが最たるものはゆりかもめというモノレールだろう。海の上を、レインボーブリッジを渡り、東京大陸に繋がる…
「もう一杯飲んでいい?」と女が言う。 表参道と渋谷の間にあるバー。青山学院の横のバー。女性のバーテンダーが怜悧にシェイカーを振る。その影が薄暗い店内の影を揺らす。 終電がなくなるか、なくならないかの際どい時間。その時間帯での、この女性の「も…
アイギュンは混乱していた。クーデターへの抗議には、町へ出よ、とエルドアン大統領は言う。ただ抗議すべきなのか。 軍が政権を握ることは避けなければいけない。エブレンによる30年以上前のクーデターでは数十万の人が拘束され、数千人が拷問にかけられた。…
「今日、今年一番うまいものを口にしたんだ」 - え、なになに。気になる 「お前のいま目の前にあるそれだよ」 - 水? 「そう。今日、久しぶりにランニングしたんだよ。30分くらい。雨は振ってなかったけどジメジメして暑かった。で、喉が乾くわけ。そして、…
いつの頃からか一人行動をするようになった。高校の頃は周りの友人たちは連れ添ってトイレに行っていた。一緒にトイレにいって何をするのか、と思うけれど、か弱きものたちは群れをなして身を守っていたのかもしれない。 私も最初から1人だったわけではない…
今日は夕刻から雨が降った。土砂降り、と言われる類の雨だった。豪雨であり、雨でエレベーターが開いてしまう店もあったようだ。 そんな雨の中、あるBARに足を運んだ。特に用事があったわけではない。「今週寄りたいな」と思った日が今日だっただけだ。そし…
イギリスがEUを離脱するのと同様に、私の左手の薬指も、私から離脱をしようとしている。 どうやら、私はこの薬指を愛用していないから、らしい。薬指によると「他の女性は、指輪をはめて輝いている。なのにお前は、、、」ということらしい。確かに、うまれて…
2016年の夏、ポケモンGOが日本を席巻した。老若男女とわず、生きとし生けるもの全てがポケモンGOを利用した。アメリカではツイッターの毎日のユーザ数を超えたが、日本では、インターネットのユーザ数を超えかねない勢いだった。ひどい人では2台持ちながらポ…
今年はラニーニャ現象が例年通りの夏ではなく、秋にずれこむ可能性がでてきたそうだ。ラニーニャが起こると南半球では気温が下がり、逆に、日本は暑くなる傾向がある。 つまり、そこからわかることは、ラニーニャがこなければ、今年の日本の夏は涼しそうだ、…
割がいいから、という申し込んだ選挙の投票受付の仕事だった。座っているだけで時給1000円ももらえるのだ。奇跡。 しかし、まだ10時にも関わらず既に後悔し始めてきた。暇なのだ。 人がくる。投票所入場券を受け取り、選挙人名簿と照合する。問題なければ判…
僕の本棚には、一冊のレシピ本が置いてある。カフェ飯を家で作れる、というような本でカフェ飯が流行りだした5年前頃に買った一冊だ。 つまり、当時の彼女と僕が一緒に暮らしていた時に一緒に買った一冊だ。特に僕はガパオが好きで、彼女によく作ってもらっ…
人生でもっとも避けるべきは、「LINEで間違ったことを送ってしまう」ということである。たとえば、「浮気相手に送る文章を恋人に送ってしまった」「恋人に送るおのろけメールを会社のグループに送ってしまう」などなど。あれは一度送ると取り戻せないもので…
私の身体の中には、動物たちの楽園がある。そこにはキリンがいて、ゾウがいて、シマウマがいる。水を飲み、お昼寝をし、駆け回っている。広い盆地に水たまりがあり、高い木があり、青い空がある。そんな自然が私の身体に埋まっている。 だから、もし私が怒ら…
満員電車に揺られ、という陳腐な修飾がぴったりの満員電車に揺られ、サミダレは路線図を見ている。路線図を見ながら、端っこの駅に目をやる。中央林間、蒲田、高尾。いまだ訪れたことのないそれらの駅名からサミダレはその駅の風景を想像する。ホームに階段…
初夏のきつい日差しの中で、その人はまるで重力がないのではないかと思えるほど、軽やかに歩いていた。木々の間を飛び交うリスのように、その人は街路樹が写した遊歩道の陰と陰の合間を淀むこと無くあるきつづけた。 綿のパンツに白いシャツ。素足に茶色の革…
この世の中には努力で勝てる世界がある。 たとえばスポーツだと短距離は圧倒的に才能の世界だが、長距離は努力でカバーできる(参考:ランニングにおける「才能と努力」の不都合な真実・・・ : )。あるいは資産運用では、FXや株の世界は、有象無象のプロが…
中目黒は子連れでOKな店は意外と多い。もちろんそれは六本木や恵比寿に比べて、ということだが。 目黒川沿いにあるこのダイナーはミサコが結婚する前からのお気に入りのお店だった。ニューヨークのグリニッジビレッジをイメージしてデザインされた内容はウッ…
2030年、ボルバキアというバクテリアが人類を恐怖に陥れた。そのバクテリアに感染すると、男性は女性となってしまうのだ。 それまでボルバキアが感染するのは昆虫だけだった。それに感染したオスのハチはメス化し、そして、精子なしで子孫を生む身体に変わる…