眠る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです。最近テクノロジーをテーマにしたものに凝ってます)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます あとスターも励みになります!

2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

なぜ美味しくなくて安くない中華料理屋が?

少し都市から離れた街の駅。一本しか通らない路線。東京や新宿までは1時間弱。 そんなどこにもありふれたような駅の駅前には、だいたい中華料理屋さんがある。本屋がなくても中華料理屋さんがある。 味は特に美味しいでもなく、あるいは、雰囲気が良いわけで…

口紅のプレゼント

「口紅がいい」 「誕生日に欲しいものある?」と聞いて、返ってきた言葉がソレだった。 口紅で思い出すことがある。大学時代にアメリカに留学していた俺は、家族にお土産を買って帰る必要があった。その時に年上の彼女に言われたのが「このブランドのこの番…

カバンの持ち手

あなたがカバンを大切にしたいと思うならば、一番見るべきポイントはどこか知っているか。 見た目でも、ブランドでも、容量でもない。 それは、持ち手だ。 有名ではないブランドでも人気のあるカバンは、たいてい、持ち手がしっかりしている。しっくりくる。…

Amazon戒名

※今回は少しブラックジョークです。ご容赦ください 「Amazonのニュースみた?家事代行も始めるそうじゃない」 - そうなの。すごいね。そんなのも手がけるんだ。 「サービスえCといえば、同じく『お坊さん便』っていうのがAmazonで話題になったじゃない。」 -…

砂漠のバラ

砂漠のバラって知ってる? 違うわよ。その銀座のお店の店名も砂漠のバラだけど、それはもう閉店したでしょ。あと実際に「砂漠のバラ」という花もあるらしいけど、それでもなくって。 「砂漠のバラ」って、ちゃんとした単語なの。Wikipediaにものってるわよ。…

ワインバー

仕事帰りにふらっとワインバーに寄った。金曜日だし、仕事で遅かったし、一杯くらいは息抜きがいいんじゃないか、と。 ちょうど会社の帰りにいつも気になっていたバーがあった。ワインバー。そこを訪れよう、と扉を空ける。 そこは、カウンターが10席、テー…

雪の中の生足

11月の東京で雪が降った。明治8年以来、初だそうだ。あまりに急な雪にに衣替えを出来ずにうっかり秋のジャケットで家を出ると凍てつく空気が身体を襲った。 - ダウンを出しておくべきだった と思いながらも人で溢れる電車に乗る。携帯では「電車遅延」のアラ…

現代の関ヶ原

最近、町中で急に刺されたり、暴行されたりという事件が増えている、とシゲジロウは思った。昔みたいにオヤジ狩りの心配もある。先日は池袋でチーマーにも追いかけられた。 そんな悩みを抱いていたところ、シゲジロウは、あるCMを見かけた。 「これだ!」と…

おでんの色気

祝日前とはいえ、仕事が早く終わってくれるというわけではない。ということで、終日前にもかかわらず、仕事で遅い。終電も間近の電車で帰る。電車はご機嫌な酔っぱらいたちもいて満員。羨ましさといらだちを抱きしめながら電車に揺られる。 電車は最寄り駅に…

ビニル傘

彼は、いつもしゃれた傘を指していた。つよーい風にも耐える丈夫な骨組み。水滴を弾くようなビニルの張り。気持ちよさそうな持ち手。 でも、度々、彼はその傘をなくした。 電車の中や、コンビニの傘立て、どこかのバーで。飲んでいる間に雨が止むと、彼は傘…

器の大きい人って?

「ねえ。タカさん。こないだコンパで女性陣に好きな男性の条件を聞いてたんですよ。それで多かった答えが『器の大きい人』でした。 器の大きい人ってわかるような、わからないような、難しくないですか。『身長が高い人』とか『優しい人』ってわかるけど、『…

コーヒー券

「先日はありがとう。助かったよ。これ、息抜きにコーヒーでも飲んで」と、渡されたのはスターバックスのギフトカードだった。1000円分。 先日、私は彼の仕事を少し手伝った。彼がどうしてもその日中に作らないといけない資料があり、彼は隣に座る私に助けを…

床にこぼれた時計

その時計は20歳になった時に親に買ってもらった時計だった。30歳になり、書い直そうかな、と思っていた時のことだった。 家を出る時にいつも通り卓上に置いた腕時計を取る。しかし、今まで3650日間に起こらないことが起こった。取りそびれ、時計を落としてし…

パンツ切り絵

以前、パンツをそのままゴミ袋に入れて捨てていたら、ストーカーに漁られていたことがあった。 それ以来、パンツを捨てる時は、ハサミで刻んで捨てていた。 そんな時、レースにハサミを入れていたら、面白い模様ができあがり、「あ、切り絵ができる」と思い…

いともたやすく行われるえげつない行為

ドラマの『逃げるは恥だが役に立つ』を見ていた。 主人公はある夫婦。ただし、恋愛結婚ではなく、契約として結婚した夫婦が主人公だ。いわば偽装結婚、仮面結婚。 そのことがある人(百合さん)にバレそうになる。妻は、「隠すのが大変だから、ある人に本当…

モエシャンのボトルを抱えて

週末の終電近い電車の中で前の席に女性が座る。 モエ・エ・シャンドンのボトルを抱えて。モエシャンとはフランスの有名なシャンパン。そこまで高くはないけれど。 年齢は20歳半ばか。顔が少し赤い。大切そうにそのボトルを両手で抱えて椅子に座る。携帯もい…

終電のない電車

日本でいると「終電のない電車」と聞くとトンチのように聞こえるけれど、そうではない。 たとえばNYで地下鉄は24時間稼働だ。複々線という2線路を活用することによって、片方を利用している間に片方はメンテが可能なため、このようなことが実現できている。…

託される願い

初めての山口県。 - 今後、なかなか行きそうにないところにしよう と思って選んだ県だった。 とはいえ観光という観光はしていない。秋芳洞という鍾乳洞を見て、あとは荻の町並みをひたすら歩く。城を遠くから眺め、土塀の横をてくてくと歩き、携帯でカエルの…

失礼

田舎に産まれた僕にとって、東京はテレビで見る対象だった。都会という記号だった。 だから、初めて東京に行くまで、その街が現実に存在するか疑わしいとさえ思っていた。多分、あなたがヨハネスブルグという街を想像する時と同じように。 いつしか記号はリ…

人生における税金

私はたまにピアスを無くす。いままでで10個以上なくしてきただろう。 毎回、買うたびに思う。「このピアスはいつなくしてしまうんだろう」と。でもそう考えると少し高価なピアスは買えなくなった。私はピアスが好きなのに。 それで考えた私なりの結果が、「…

偽り

いま、流行りの出会い系アプリを使っていた。出会い系といっても、一昔あったようないかがわしいものよりも、もっと結婚や恋愛を意識した出会い系だ。 Facebookの登録が必須だから、相手の友達数による安心感があるようで使っている女性も多い。友達数はなか…

ある選挙の果てに

ネイトは、通りを歩きながら、今日起こった悪夢を反芻する。深夜の街だけれど、今日はいつもよりも賑やかだ。嬉しくてお酒を飲む人と悲しくてお酒を飲む人で溢れているからだろう。 ネイトもお酒を飲みたかった。ただ、その前に自分の中でこの出来事を受け止…

涙と雨

小雨が降ってきて。 ある人は小走りになり、ある人は折り畳み傘を差す。あるいは、まったく動じずに雨を受け止める人がいた。 その人は、まるで雨は降っていないような面持ちで町中を歩く。思わず雨さえも、その人を避けて降ってるんじゃないか、と思えるほ…

夏は冬より短いよね?!!

「春夏秋冬というけれど、なんだか夏は少ない」という不満を常々持っていた。 というのも、春と夏の間に梅雨という季節があるからだ。 梅雨が空けるのは7月の終わり。そして、夏は8月が盛りで、9月は消化試合としての夏があるだけ。そもそも我々は小学生の頃…

昔の恋人との再会が持つ副作用

「変わってないね」 「ミキこそ変わってないね。むしろきれいになったよ」 そんな言葉が交わせるのは、大人の醍醐味の1つかもしれない。 昔の恋人と数年ぶりの再会。それはきっと若い頃にはなかなか経験できないことで。 「仕事は一緒のまま?」 「あの友達…

ロッカーに「ロッカーで良かったこと」を聞いてみた

ロッカーの中から世の中を眺めていると、たくさんの人の日常が見える。 旅行者、学生、会社員、OL。多くの人はこれから何か用事に行く時に「大きな荷物が邪魔だから」といってロッカーを使う人が多い。主には旅行者が多いかな。 使われ方は変わらないけれど…

今日はついてないな、と思う時には

「悪いことが続くな」という時がある。 たとえば 就職活動でお断りのメールが届く 財布を落とす パチンコで大負けをする といった出来事が1日に重なった時。 あるいは「恋人に浮気された日に、会社が倒産して、父親が事故にあう」といったような時もあるかも…

すごいね〜

デートでもっとも大切なことは何かしってるか それはな"すごい"と言わさないことだ。 "すごい"は、思考停止の返答だ。もちろん相手が本当に感嘆と共に"すごい"と言う時もあるだろうよ。でも、たいていは「めんどくさいけど何かいわなきゃ」という時にでる言…

あなたが要らないもので世界が動く

「お釣りはここに入れておいてください」と、男の人は募金箱を指差しながら、立ち去っていった。 レジの金額が198円だったので、お釣りは2円だろうか。レジの人はその2円を募金箱に入れていた。 彼は寄付をしたいから入れたのかもしれないし、あるいは、お釣…

女の子はお砂糖とスパイスと素敵な何かででできている

椎名林檎の歌で 女の子はお砂糖とスパイスでできている という歌詞を耳にして「やっぱり」と思った。 誰かの体液はワインでできていると言ったけれど、砂糖とスパイスの方がしっくりくる。 砂糖のように甘い匂いがするし、でも時にピリリと辛い。 元ネタは、…