眠る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです。最近テクノロジーをテーマにしたものに凝ってます)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます あとスターも励みになります!

2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

7年前のゴールデンウィーク

記憶に残っているゴールデンウィークは?と考えて思い出すのは、7年前のゴールデンウィークだ。 6日間の休みを、全て読書にあてた。それも小説やノンフィクションではない。仕事のための本だ。4月から新しい部署に移動になり、会計のことを学ぶ必要があった…

ゴールデンウィークは連休業界で上位何位に位置するか?

「ゴールデンウィークって休み業界の中でどれくらい偉いんだろうね」「どういうこと?」「連休って年に何回かあるじゃない。ゴールデンウィーク、お盆、、とか。あとは、シルバーウィーク、お正月で全部かな」「あるね」「その中で、ゴールデンウィークの有…

初めての満員電車

なんだこの破廉恥な空間は。こんな淫靡な空間が現代社会の東京で存在していいのか。 それが私の初めて満員電車に乗った時の感想だった。いきなり隣の人とすごい勢いでくっつく。もはや体が半分浮くんじゃないかという勢い。横からの圧力がなぜか↗にベクトル…

目を合わせると食事に行かないといけない国

南米のある国では、奇妙な習慣が残る町がある。その町では、目をあわせたら、「食事に行く」というルールになっている。拒否をしてもいいのだが、倫理的には非常に許されない。目が合うと最後、食事に行くしかないのだ。 ゆえに、人はサングラスをかける。あ…

やかんの描写

村上龍だったか、誰だったか忘れたのだが、ある作家が書いていたエピソードが記憶に残っている。 彼は文章の練習をしていた。その1つとして「やかんに火をかけて沸くまでのシーンをひたすら描写する」という訓練をした。それで10ページ書いたのだかなんだか…

日曜の朝

日曜の朝、貴方は友人とゴルフがあるからと家を出て。本当は10時に起きないといけないのに、ぐずぐずしていて10時15分になってしまった。日曜の午前のベッドには魔物が住んでいる。ぱっと起きれた試しがない。10時のめざまして目を覚ました私が彼の背中をさ…

嘘のつけない国

その国では、人は嘘をつくことができなかった。嘘をつこうとすると声がでなくなった。本当のことしか言えなかった。 ゆえに政治家は黙秘を徹底的に行使した。冤罪はかなり減った。嘘発見器は売上がたたなかった。 会社では、嘘にならないグレーの表現方法が…

いつもの金曜日

だいたい仕事は20時に終わる。金曜日は飲みの予定が入ることは多いが、月に1度くらいは予定が入らない金曜日がある。「もったいないな」と思って、予定を入れたくなるけれど、この年になると「何も予定のない金曜日」の方が贅沢だと知ってしまった。「何も予…

ユージュアルサスペクツ

ユージュアルサスペクツという映画がある。足を引きづったオヤジがハッスルする映画だった記憶がある。 このユージュアルサスペクツ(usual supects)は、「いつもの容疑者たち」という意味合いでカサブランカの映画のセリフからとられている。 でも、私のユ…

まだ始まっちゃいないさ

「別れよう」 「・・・。どういうこと?」 「今でもお前のことは嫌いじゃない。でも、やっぱり続けられないよ」 「意味がわからないわ」 「ごめん」 「・・・」 「そんな目で見るなよ。お前の笑顔が好きだった。まっすぐな瞳も好きだった。飲み物を飲みなが…

筋肉と対話する手

長年の経験は人をプロフェッショナルにするという。たとえば、お弁当屋さんで働くパートの主婦は1グラムのブレなく、イメージした通りの重さでご飯をよそうことができる。スポーツ選手だともっとわかりやすいだろう。サッカー選手はボールをまるで体に張り付…

空と鼻歌とスキップと

「見て、今日の空。気持ちいいね」 と、LINEが届く。「空のことを話ができる人は心が軽やかな人だ」という話を聞いたことがある。心に重たいもの、悩みや苦しみを持っていると、人はうつむき、空を見上げることができない。ゆえに、空の話をできる人は上をむ…

ランチは1人で行く派の苦悩

私はランチを13時から食べるようにしている。12時だと、会社のみんなと同じ時間になって「一緒に行こう」と言われてしまうからだ。以前は11時30分に行っていたが、それだと朝食からのインターバルが少なく、お腹がすかなかった。会社の多くの人は12時から休…

iPhoneの置き方から判断する浮気調査

「セオリー1。iPhoneをケースに入れていない子は、性行為の時にコンドームを付けない奴だ」と、2杯目のビールを飲みながらアツシが言う。 アツシの理論で言うと、「iPhoneは落とすものだ。ないし、落とす可能性を前提としたものだ。なのに、そのリスクをかん…

平日を締めくくる一杯

金曜日、予定がない時は地元の駅から家に帰る途中にあるバーによる。飲み屋といってもいいのかもしれないけれど、それよりは多少は上等なグラスを使っていて。 榊さんという25歳のバーテンと一番話があう。2人ともフランスの映画が好きで。でも話題はもっぱ…

今を生きる少女

「先の予定は入れたくないの」と君は言う。 お陰で、事前にレストランの予約はできない。いつも直前に「今日、空いてる?」と連絡がある。そこからお店を探す。せめてもう1時間早く連絡をくれていれば、店を探す余裕があるのに。僕の行きたい店のリストはな…

人生の満足度とは何できまるか

「人生の満足度って何で決まるか知ってる?」 「なんだろう。どれだけお金をもってるかとか?」 「違うよ。結婚生活の満足度と比例するんだって」 「へー。面白い。仕事とかじゃないんだね」 「だね。で、さらにおもしろいのが、結婚生活の満足度は何と関係…

黄金のうなずき

仕事をしていると「ファシリテーション」をしないといけないことがある。いわば会議をスムーズにするための進行役だ。 お題を設定したり、時間調整をしたり、意見を促進したり。簡単に見えそうで相当なテクニックが求められる妙技だ。 このファシリテーショ…

恋はトレードオフか

広尾にあるビストロで彼女はグラスを傾けながら言う。 「もっと恋をすればよかった」 彼女が最初に自分の会社を始めたのは19歳の頃だった。そこから今は3社目となる。2社の失敗経験を踏まえて3社目は軌道に乗った。彼女は15年間、仕事だけをしてきた。 「恋…

花屋のひまわりの位置

表参道を歩いていると、デザイナーの友人が言う - あの花屋の花の並びは非常に素晴らしい。しかし、あのひまわりの場所だけ気持ち悪いんだ デザインを糧にしている人は着眼点が違うな、と思った。彼は花屋の花の並びをデザインに見たて、ひまわりの位置に気…

誰も死なない何も起こらない物語

誰も死なない物語が好きだ。そして何も事件が起こらない小説が好きだ。 たいていの小説では、人が死ぬ。あるいは、人がさらわれたり、カード詐欺にあったり、城が燃えたりと、まぁ何かしら起こる。名作ノルウェイの森は何人もの死の上に成り立っているし、伊…

タワマンから見下ろす東京タワーより美しいもの

田舎者にとって東京タワーは憧れだった。上京した時に、東京タワーの麓に住んだのは、その思いがあったからかもしれない。東麻布は落ち着いた町で結局6年も住んだ。週に一度は芝公園の麓をランニングするのが習慣で、東京タワーを見上げる人たちを代わりなが…

ダッチオーブン焼き林檎アイスクリーム占い

渋谷と表参道の間の渋谷二丁目近くにあるそのビストロは、駅から少し歩くにもかかわらずいつも混んでいた。 おそらく食べログ評価の高さによるものだろう。すなわち、雰囲気もよく、味もよく、値段も手頃だ。特に女性が多く、平日の21時だというのに、女性で…

二度寝の幸せはジョブズへの感謝

世の中に二度寝の幸せほど手軽に味わえて、さらに容易に味わえる幸せはないのではなかろうか。 「あと5分」という悪魔の呪文は2億年前から唱えられていたが、いくら文明が発達しても、その呪文は変わることはない。まさに睡眠欲が3大欲求たる所以だろう。そ…

桜の呪い

美しい桜を求めて毎年、歩いた。 代々木公園、上野公園、井の頭、千鳥ヶ淵などの都内の名所はもとより、日光や鎌倉なども伸ばした。青森の弘前城や山梨の山高神代桜、福島の三春滝桜などの日本を代表する桜の名所も回った。昨年は奈良の吉野もめぐった。 た…

ファーストチェス理論と恋愛と

「ファーストチェス理論」という考え方がある。 チェスの名人が5秒で考えた手と、30分考えながら打った手は86%が同じ、という話だ。 そこから言えるのは、「長く考えるよりも直感的に思った方法が正しい」としてよく使われる説明である。 しかし、天邪鬼に…

Long story short, We survived

先日、プリズン・ブレイクの主人公だった役者のFacebook投稿が話題になっていた。彼はある時に自分が太っていた時の画像が揶揄されているのを見かけて、ショックを受けた。 その太っていたのは、彼が鬱と戦うために必要だった食べることの帰結だった。ドラッ…

カステラの底が紙だと今更気づいた

カステラの底に付いているものを、私はずっとカステラだと思っていた。パエリアの魚介の殻のように、食べられないけれども、それはパエリアを構成する重要な1つのように、私はその殻をパエリアだと思っていた。それと同様に、私にとってカステラの底のあれは…

恋人と合うもの、あわないもの

人は誰しも趣味嗜好がある。たとえばコーヒーが嫌いだったり、コーヒーの中でもラテではなくブラックだったり。 恋人同士でも全てが同じということは確率的にありえなく、誰しも違いを感じることはある。 立ち位置がいつも左側の人は、相手も左側だと違和感…

エイプリルフール

中学校時代に好きだった子と偶然出会った。東銀座の仕事帰りに。4月になったばかりということで気分もよく「一杯飲んでいかない」と声をかけた。もう10年以上ぶりになる相手にも関わらず、あるいは、15年以上ぶりだからこそ思わず誘ってしまっていた。 相手…