眠る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです。最近テクノロジーをテーマにしたものに凝ってます)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます あとスターも励みになります!

2016-10-01から1ヶ月間の記事一覧

衣装被りから見るハロウィンの妙味

ハロウィンに参加する人たちのモチベーションとはどのようなものなのだろうか。 自分が着たい服を着て自己充足感を高めるもの? 人にコスプレを見てもらい承認欲求を見たすもの? パーティーピーポー向けのアドレナリン放出祭り? 人によってそのような動機…

着れなかった白衣のコスプレ

ハロウィンの時期に町中では様々な衣装が触れている。その中に医者の白衣を見ると、いつも1つの後悔が蘇る。 10年前のこと。当時学生だった僕には恋人がいた。そして恋人同士の関係のままハロウィンを迎えた。当時は、今ほどまで盛り上がっているわけではな…

ハロウィンに何を着るの

「ねえ、ハロウィンはコスプレしないの」と、まだ布団の中にいる彼に聞く。 「うーん。して欲しいの?何を着ればいいかわからないよ」。ベッドで寝返りをうつ彼。 「なりたい自分になってみるというのはどう?」と言うと、そうだねえ、と彼は乗り気ではなさ…

からあげとレモン

「ね、唐揚げにレモンをかけていい?」と彼女が聞く。 「いいよ」と僕が答える。 レモンを手に取り、笑顔で彼女が言う。 「知ってた?レモンって、普通は尖った方を下に向けて絞るでしょ。でも、ほんとは逆に持って絞った方が美味しいんだよ レモンの皮に香…

Apple watchで改札を通れるようになった人々

先日、Apple payが始まった。これで、iPhone 7やApple Watch Series 2でSuicaが使えるようになった。すわなち、お財布携帯のように、iPhoneで改札を通ることができるようになった。 これは、革命である。ガラケー時代にできていた「おサイフ携帯」が、やっと…

相席屋からのシェアブーム

昨年あたりより「相席屋」が話題になっている。名前の通り「相席」をする飲食店だ。 ただ、普通の相席と違うのは「男女で相席になる」ということ。いわば、飲食店で即席コンパが開催される。気に入ればそこで話続ければいいし、気に食わなければ別のテーブル…

自動販売機による恋愛相談

「俺が恋愛相談すれば、それなりに的確なアドバイスができるのに」と自動販売機は思う。 「買う飲み物の傾向でその人の性格はわかる」というのが、彼の持論だ。屋外ではなく、屋内の自動販売機としてのエリートたる自負もあろうが、たしかに彼の論説は興味深…

雄弁な指

週末の六本木のクラブでは、今日も男と女が新しい出会いを求めてすれ違う。 「職業当ててみせようか」と、男がさきほど会ったばかりの女に言う。 「いいよ、当てて」。女はテキーラ・サンライズの入ったグラスを傾けながら気だるそうにこたえる。カウンター…

生きた証

突然だった。事故というものはそういうものなのだろう。予告のある事故なんてない。胸騒ぎも予兆もない。 留学中でのスキー。雪山で車がスリップして木にぶつかる事故。降りたところに後ろからきたトラックもスリップして、その車にはねられた。即死だった。…

エンドロールの幕がおりて

昔、読んでいた恋愛マンガがある。「BOYS BE…」というもので、1話読み切りのオムニバスの恋愛漫画だった。 数あるストーリーの大半は忘れてしまったけれど、1つだけ覚えているエピソードがある。人は、映画の後の「エンドロールを最後まで見る人」か「映画が…

時間の止まったBAR

このまま帰りたくないな、という時がたまにある。すなわち「いっぱい飲んで帰りたいな」という人だ。そんな思いを抱えて、普段の帰り道よりも少し遠回り。22時の木曜日。 - あれ、こんなところにバーがあったんだ 古い木の扉と小さなネオン。「BAR」とだけ書…

サウナの悪意

「最近、サウナって人気らしいな」 - そうらしいですね。北川景子も美容のためにサウナによく行ってるらしいですよ。そもそも北川景子と一緒のサウナに入ったら、それだけできれいになる気がしますよね。彼女の蒸気を吸ってるだけで。 「テレビでもよく放送…

バカに救われる

電車に乗っていると小学生たちの会話が聞こえてくる。 「男子ってほんとにバカよね」 思わず、そのセリフに同意をしてしまう。 - ほんとうに男はバカだ。 あんなバレバレの嘘をついたり、馬鹿らしいことにお金を使ったり。 でも、と思う でも、そのバカなと…

雨の日の憂鬱

朝、起きて雨だと憂鬱だ。きっとあなたも。 低気圧で気分が優れないし、電車は混むし、靴は汚れるし。両手はカバンと傘で埋まって、その上に、iPhone聞きながら、SUICAを出すなんて、まるでジャグリング。iPhoneにSuicaをつける前に傘をつけたらいいのに、な…

ブータンから見る幸せの難しさ

ブータンは「幸せの国」と言われている。 それは、国王が提唱した「国民総幸福量(国民がどれだけ幸せか)」という概念が有名だからだろう。 ただ、留意いただきたいのは、ブータンが「その指標で1位だった」というわけではない。現状、「世界一幸せな国ブー…

もっとも愛されたタイの国王

2016年10月13日、タイの国王「プミポン国王(ラーマ9世)」が他界した。国王としての在位期間は70年と非常に長い。しかし、その70年は平坦なものではなかった。 軍事の強いタイでは何度もクーデターが起こった。冷戦の時代は、共産国と自由主義陣営との戦い…

四角い穴に 丸い杭を打ちこむように

あるカメラマンがいた。スカイダイビングをするがごとく、カメラと共に飛行機から飛び出した彼。しかし、他の人と違ったのは、彼はパラシュートを付けていなかったということだった。 彼はどんな思いでシャッターを切り続けたのだろうか。彼は時速100キロを…

風に答えを求めて

2016年のノーベル文学賞はボブ・ディラン氏が受賞した。村上春樹氏だ、といわれていたが、村上氏は受賞にいたらなかった。 この両者の名前を聞くとある共通点を思い出す。 ボブ・ディラン氏の有名な作品に「Blowin' in the Wind(風に吹かれて)」という歌が…

女性の身体でどこを褒めるべきか

女性がほめられてうれしいところを意外と男は知りません。 もちろん見た目や性格を褒められるとうれしいでしょう。服装をほめられてもうれしいでしょう。でも、それは、私を異性としてのアイコンで見ているだけです。 それよりも、褒められるとうれしいのは.…

龍泉刃物

父が僕によく言っていた。「良い包丁だけは持つな」と。 理由を聞いても教えてくれなかった。その割には、家に貝印の良い包丁が使われていた。母はその包丁でトマトをきれいに切って、サラダにもりつけをしてくれていた。子供ながらに「トマトってあんなによ…

嘘をつけない彼女

「うちは冷麺も名物なんですよ。ぜひ、最後の締めに食べていってください。ゆず風味で美味しいですよ」と、カウンターから割腹の良い店主が言う。元気系居酒屋出身だけあって気さくだ。そして声がでかい。 「麺好きだから食べてみたいな」と彼女が言う。 「…

Talk over a crab

「ねえ。焼肉を食べるカップルって、身体の関係があるカップルって言うじゃない」と、女が蟹の身を箸でつまみながら言う。 「そうだね。そんな話、聞いたことがある」、横に座る男がお猪口を口に運びながらこたえる。 「でもさ、蟹の方がそんな気がしない?…

婚活のおける合理性と非合理性の矛盾

私、考えたのよ。あなたは合理的な人間。生き方も合理的であろうとする。結婚相手も合理的に探そうとする。 自分が譲れない条件を決めて、あとはできるだけ多くの人に合う。コンパや結婚紹介所、出会い系サイト、クラブ。 でも、それだけ多くの人と出会って…

携帯の裏返しは浮気の証拠?

「ねえ。携帯を裏側に置く人って浮気してるんだって」 女が言う。男はテーブルの上に置かれた携帯に目をやる。裏側に置かれている。 男は、「へえ」と言いながらアスパラガスを口に運ぶ。そして、ワインを一口飲む。 「会社のやり取りとかもたまにLINEでする…

WASABI

ジャパンでやってみたかったことは、SUSHIを食べることだった。アメリカで食べているSUSHIは、日本人に言わせると「フレッシュじゃない」ということだ。だから、僕は日本でフレッシュなSUSHIを食べる。 KIXからラピートに乗って、NAMBAの駅を降りた。そして…

ある朝、起きたら女子高生

ある朝、起きたら、女子高生になっていた。自然が豊かな村に暮らす女子高生だった。とりあえず寝ぼけ眼で自分の胸を鷲掴みにはした。 幸い、初めて女性なったので、初めて体験することばかりだった。 まず気づいたのは「なんて世の中は匂いに溢れているんだ…

嬌声

最高に身体の相性の合う女性だった。いままでの行為が何だったんだ、と思えるほど。 何より彼女の反応が艶やかだった。その嬌声が部屋に響き、それにより興奮が増幅された。鼓膜と粘膜を震わせる音だった。人は聴覚でも興奮することを知る。 そして声をなぞ…

花咲く花屋

「すいませーん」 店先から声がする。花束を包んでいた手を止めて、入り口を覗く。スーツを着た男性が立っている。 「すいません。何か花束を見繕って欲しいんですが」とスーツは仰る。40代か。少し頭に白髪が見えるが、ダンディなおじさまだ。日焼けした笑…

UberEATSラブストーリー

先週、UberEATSという食事の宅配サービスがはじまった。既存の宅配サービスよりも早く安く届けてくれるらしい。 ちょうど週末で、家に引きこもっている時に、Facebookでその広告が流れてきたので利用してみた。ランチのために化粧して服を着替えて、髪の毛を…

土曜の朝のけだるみの中で

女が「せんせい、あのね」と手でメガホンを作って、男に呼びかける。 男はパソコンの画面から目をはなす。女が座るソファーの方に目をやる。女は男を見つめて何もしゃべらない。 「どうしたの」とパソコンに目線を戻しながら男が言う。部屋には、北欧の歌手…