眠る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです。最近テクノロジーをテーマにしたものに凝ってます)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます あとスターも励みになります!

2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ヨーグルト

なんだよ、とつぶやいている自分に気づいた。 悔しいので、久しぶりに湯船に湯を入れた。普段はシャワーだけれど、今日は湯船に浸かりたい。 湯が満杯になるのを待ちきれず湯船に飛び込んだ。そして、水の中に潜った。 ドボドボとお湯が入る音が流れる。べち…

鼻セレブ

嗚呼、鼻セレブを買ってしまいました。ちょっと風邪気味で鼻水が止まらなかったのです。 鼻セレブをご存知ない?それは、ちょっと大正すぎます。いま、セレブの最先端は、ジェット機でもなく別荘でもなくティッシュなのです。 ティッシュに金粉とトリュフが…

地名で遊ぶ

最初に東横線沿いに住んだ時にさ、全部の駅名を覚えようと思ったんだよ。英単語覚えるみたいに覚えたんだよ。でも2年も経つと全部忘れちゃった。駄目だね。 やっぱり町はイメージと結びつけて覚えなくちゃいけないよね。渋谷は坂が多いから「渋谷」みたいに…

空気を吸うのさえも嫌がる潔癖症の彼

潔癖症な人だった。 まず、電車の吊革を持てなかった。だから一緒に電車を乗る時には、彼を支えたものだ。 「公衆トイレではどうしてるの?」と聞いたら、お尻が便座につかないように浮かせているらしい。その時に私は、彼の太ももの筋肉が発達していた理由…

おにぎりカフェ

近所に「おにぎり屋さん」ができた。美味しいおにぎりを売っているお店だ。昆布とか、たらことか。なんだか気の利いた具の。1個200円くらいとお安い。 お米は、玄米と白米を選べる。ノリもしっとりしていて美味しい。きっと良いノリを使っているんだろうな、…

次回のランチ

会社を辞める人がいて、一緒にランチをした。 「なんで辞めるの、これからどうするの」といった定形的な質問を繰り返した。営業の仕事をしている彼女はキャリアアップのため、外資系の会社に移るそうだ。すごいな、という感嘆とともに、軽やかに会社を移れる…

その目の下にあるもの

同僚に「くまがひどいね」と言われた。 昨夜は寝るのが遅かったからだろう。期末は何かと慌ただしい。 トイレの鏡で自分のクマをまじまじと見たが「クマだなぁ」と思った。かわいくない。なんだかお化けみたいだ。そして疲れている感がすごい。 くまという名…

形容詞が言えない男

彼は形容詞が言えない人だった。 意図的というよりも、生得的に形容詞という概念を持っていないようだった。 たとえば、夏の暑い日には「暑い」と表現するのではなく、「スタバで涼んでいこう」と表現する人だった。試験後の徹夜明け「眠い」というのではな…

私は恋をする能力が欠けている

私は恋をしたことがない。 中学生や高校生の頃から、周りは"恋"というものにわーきゃーを言っていた。 - 誰々君と目があった - 誰々君と付き合うことになった - 誰々君と相性いいんだ いま考えれば、「目があっただけで喜ぶ」「男性の触ったハンカチを触って…

バスの最終停留所にある家に生まれて

私の家は、高校からバスに乗って30分乗った場所にあった。バスの最終停留所だった。 駅から歩いて帰るには遠いので、私は高校にバスに乗って通う日々だった。坂の多い町だから自転車はあまり乗らなかった。 バスのいい思い出はあまりない。寒い冬に待つバス…

全力父さん

父は手加減というものを知らなかった。常に全力だった。 母親は私によく言ったものだ。 「父さんが、あなたを『たかいたかい』とすると、あなたは2メートルは空に飛び上がっていた。母さんはそれ以来、お父さんに『たかいたかい』はさせなかったのよ」と。 …

叫び

※ちょっと怖い話系です。 「変な奴がいる」と思い、携帯から顔を上げた。変な声が聞こえたのだ。 その人は車両の真ん中あたりにいた。 女性のような長い髪の毛と赤いドレスを着た人が、何かを必死で叫んでいた。顔は見えないけれど、全身を震わせながら何か…

満員電車の解決方法

満員電車はもはや現代の町の病である。治る見込みのない病。オフピーク通勤が始まったところで、田園都市線の混雑は何も緩和されない。 しかし、2018年、ある鉄道会社が行った試みが時代を変えた。その試みによって、朝の満員電車が驚くほど解消された。それ…

食事中の携帯はマナー違反?

食事をしている時に携帯を見るのはマナーが悪いとされている。そのため、「品の良い女子」は、食事中は、携帯をカバンに入れたまま出さない。 テーブルの上においていると連絡がきた時に見てしまう。だから、「品の良い女子」は、カバンに携帯は入れたまま。…

雪の思い出

この週末、日本列島に強烈な寒波が訪れた。東京では、晴れているのに雪が降った。日本海側では大きな積雪となった。 テレビで雪のニュースを見る度に思い出すことがある。私の生まれ育った町の雪だ。 北陸のその町は、雪がよく振った。私が住んでいた町は山…

スマホを落としたくない場所ランキング

いまや誰も彼もスマホを持つ時代。猫も杓子もスマホである。正確には、猫もスマホは持たないし、杓子に至っては、スマホを持つ方法もないけれど、ともかく多くの人がスマホを持っている。 スマホを持っているということは、スマホを落とすということと表裏一…

アフリカの旅行者ノート

アフリカを旅行していると「旅行者ノート」というものがある。日本人がよく泊まる宿においてあるノートで、そこに旅行者たちが情報を書き残している。 ビザの情報や美味しいレストランの情報、あるいは、電車やバスの情報など。ビザの情報などはインターネッ…

雨の日

雨の日だった。 雨の日に、白のジーンズをはいている男性がいた。 その日は雨だから、足元が汚れる。白いジーンはなおさら汚れる。 それでも、彼は白いジーンズをはいていた。 わざわざ今日履かなくとも、と思うけれど、きっと彼なりのポリシーか、理由があ…

メニューと違うものがでてくるレストラン

その店では、頼んだメニューと違うものがでてきた。 そもそもはその店はメニューなんてなかった。座れば、何かが出て来るのだ。 「今日のあなたにおすすめ」という感じで、その人の雰囲気にあったものがでる。ただし、実際のところは「今日の買いすぎた食材…

炭酸抜きコーラ

普段は、「七夕に願いをなんて、非科学的な」とか思っているのに。いざ風邪をひくと、思わず「ネギを喉にまこうかな」と民間療法に助けを求めちゃったりする。 風邪を引くと、心が弱くなるのだ。 藁をもつかむ思いで、「これいいよ」という話に飛びついてし…

もしも無意識にテレポートしてしまったならば

子供の頃、「もしも、うっかりテレポーテーションをしてしまったらどうしよう」と不安に苛まれていた。 どこでもドアのような意識的な移動ではなく、無意識の移動だ。ふと気づいたら自分が知らない場所に移動している、とでもいうような。 もちろん、それが…

頑張ろう

年末にライブがあって参加した。 そこまで大きな箱ではなかったので、ミュージシャンとの距離は近く盛り上がった。内容に何の不満もなく終わった。 ただ、帰り道にふと思い出した。 終盤、ミュージシャンは「来年もがんばりましょー」と叫んでいた。そして、…

祈り

日本で生きていると、漢字を使った訓話を耳にすることがある。 たとえば、ある格闘技の先生は言う。 - 武道の武という字は「矛(ほこ)」を止める」と書く。すなわち、武道とは争いを止めるために手段であったのだ - 忍というのは、心の上に刀を置く、と書く…

誕生日なんておめでたくない

「お誕生日おめでとう」という言葉に違和感を感じていた。 そういうと、こじらせた「中二病」のように聞こえるけれど、僕にとっては、結構、重要なテーマであった。 どういうことか。 人は言う。「お誕生日おめでとう」と。それの「何がめでたい」のかがいま…

電気を消せる人、消せない人

世の中の人間が2種類に分けることができるとしったのは、20歳を超えてからだった。 その2種類とは、「電気を消せる人と消せない人」だ。 これは、いわゆる、母親が子供に言う「部屋を出る時は電気を消しなさい」「トイレは使わない時は電気を消して!」とい…

何に期待してるの

仕事からの帰り道。週末。時間は終電近く。 冷えたレンガ道を塞ぐように歩く4人。2人の男と2人の女。年齢は20代なかばだろうか。若いが、新卒に見えるほど新鮮さもない。 4人が固まりで歩いているところを見ると、グループだろう。同僚か、友達か、それ以外…

1年の速さ

あっというまに正月が終わり、そして1月が終わり、春がくる。そして夏がきて冬がきて1年が終わる。 予定調和の1年。絶対に違うことのない一年。 ただ、若い頃と違うのは、「1年の過ぎるのが早い」という感覚だ。これに関して、このような分析を読んだことが…

福袋的な何か

毎年、お正月のニュースを見ていると「福袋」の話題がでる。 よくできた仕組みだな、と思う。世の中には「福袋的な買い方」が好きな人がいるのだ。 たとえば、109の福袋でいえば、「109のブランドであればどこでもいい」という人たちがいて、そういう人たち…

初夢みた?

「ねぇ、初夢みた?」 ベッドから起き上がりカーテンをあけて女が言う。男は、目をつむりながら答える。 「うーん。みたかな。覚えてないな」 女は布団に入り込みなおす。 「私は見たよ。ある男がいるの。その男には恋人がいるの。 でも、年末に元彼女から連…

おみくじで

告白は男性からするもの、なんて古い。そんなの昭和の話だ!、と思うのだけれど、なかなかそうは言っても女性から男性にアプローチするのはなかなか抵抗がある。 だから、ミサキがタカ君に積極的になれないのもわかる。でも、アタックすればきっとうまくいく…