2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧
「最近、インターネット上で、『レールに沿った人生はいやだ』と大学中退した人が話題になっていましたね」 「あー。なんかFacebookで見た気がするね」 「テツさん、鉄道好きじゃないですか笑。どう思いましたか?」 「中身は読んでないので、よくわからない…
明細胞肉腫という珍しい癌だった。28歳という若さで発症したためか、発覚した頃にはもう手遅れだった。 アヤは一言で言えばよく笑う子だった。僕のメールの文章が硬い、とケラケラと笑った。チャックが開いてるよ、と笑った。泣いている時もあったけれど、そ…
「アメリカでは、インアンドアウトという美味しいハンバーガー屋さんがあってね」と、サダさんが喋る。 まさかこの人が、こんなにハンバーガーが好きだったなんて。 サダさんは、延々とインアンドアウトバーガーがいかに美味しいかを力説する。レタスのシャ…
ミチがカフェで友人を待っていると、隣の席の会話が耳に入ってきた。 - パンと他の料理の違いはわかるか? 白髪の恰幅の良い男性が、若い男に質問を投げかけている。パンと他の料理の違い?主食じゃないということかな。 - なんでしょう。こねる必要があると…
ナオトは、雨の中のターミナル駅の商店街を浮気相手と歩いていた。すると、前方から知った人が歩いてくる。距離としては200メートルくらい離れているだろうか。ナオトの妻だった。しかし、ナオトの妻も男性と寄り添って歩いていた。腕を組んでいた。ナオトも…
昔々、あるところに女の子がいました。その女の子は黒板に文字を描くのがとても上手でした。あまりにも上手で、彼女が黒板に描いた算数の回答は、間違っていても、正解にされることがあるくらいでした。先生がその文字の美しさに見とれて、うっかり正解にし…
「ねぇ、ストーカーされたことってある?」 - うーん。ないかなぁ。 「私はあるの。大学生の頃」 - どんな風に? 「私が行くところ、どこにでもその人がついてきていたの。たとえば、スーパーに行って振り返ればその人がいたし、部屋を出て道を見渡せば、そ…
駅を出ると小雨が降っていた。最近、雨が続く。 でも今日ばかりは、この小雨が気持ち良い。待ち合わせのカフェに向かう途中、過去の思い出が蘇る。 彼と言った旅行、かけてくれた言葉、一緒に作った料理。なぜか別れ際は、良い思い出ばかりを思い出す。もし…
- ミヤモト、聞いてくれるか - どうしたんですか - こないだ、社長の家に遊びにいかせてもらったんや - いいですね。どうでした?湾岸沿いのタワーマンションですよね - そうや。きれいやったで。まぁ、でもそれはええねん。行く時にエレベーターのったんや…
「3連休だからか、車混んでるね」 天現寺から首都高にのった乗った車の流れは、箱先ジャンクションで少し滞留していた。 「そうだね。朝からこんなにみんなどこに行くんだろうね」「私たちも同じ風に言われてるけど笑」 車の中では、英語のPOPミュージックが…
バンジージャンプ、というものがある。高いところからゴムの命綱をつけて飛ぶというものだ。 日本でもっとも高い竜神バンジーは茨城県にあり、100メートルの高さを誇る。竜神バンジーで年間1万人ほどの人が訪れているとのことだから、日本中では10以上のバン…
車を運転している時は、本性が現れるという。その話を聞いて以来、私は運転する人の所作を注意深くみるようにしてきた。 だいたいの人が普段の行動と運転の行動は一緒だった。たとえば、レストランで店員さんに乱暴な口を聞く人は、運転する時も乱暴だった。…
「家を出る時は電気を消して!」 何度、彼女に言われたことか。今までの彼女にはそんなことを言われたことがなかった俺にとって、彼女の小言は、「うるさいことを言う人だな」と感じていた。 「パジャマはちゃんと畳んで」 「起きたらベッドの布団はめくって…
昨日の続き。 その部屋にはゴトウと3人の女がいた。 ミホが一番強烈なキャラクターだった。なぜか、髪の毛を洗わないため、夏は匂う。美人なのに匂うというのは、なかなか非日常を感じるコントラストだった。誰かが「シャワー浴びてきて」と言って、やっとシ…
大きな公園が近くにあるバーで飲んでいた。一枚板の大きなカウンターがあるだけの小さな店だ。そこで私はシャルドネをちびちび飲みながら携帯をいじり、一週間の終わりを楽しんでいた。 そんな時に店に入ってきたのがゴトウだった。空いている私の隣の席に座…
うさぎと亀の物語を知っているか。 2匹でかけっこをして、走るのが早いうさぎが圧倒的優位だったが、昼寝をしている間に、地道に努力した亀が勝つ、という童話だ。 示唆は、「油断大敵である。地道な努力は良いものである」というものだ。 言いたいことはわ…
港区の大きなモールであるヒルズのある場所では、遠くの声が反響して聞こえる。建築家が意図したものか、たまたまかわからないが、入り組んだ建物の関係で、そこでは不思議な現状が起こる。 その場所に立つと、少し離れた場所での声が聞こえるのだ。まるでそ…
※昨日の続きです 「美容院ナビ」の登場は洗髪ブームを起こしただけにとどまらなかった。ユーザは洗髪以外にも多くのものを望んでいたのだ。 その1つが「喋りかけない美容院」である。美容院には、「客にしゃべりかけること」が、美容師のアイデンティティー…
2017年、あるWebサービスが業界を賑わした。それは「美容院ナビ」というサービスで、各種の美容院のレビューサイトだった。いわば、食べログの美容院版と考えてもらえばいい。 従来のHotpepper ビューティと異なるのは、徹底したレビュー機能にあった。 その…
いつもの土曜日と同じく、10時に準備を始める。ランニング用のスニーカーを履き、Nikeのキャップを被る。たまにサングラスを忘れてしまうが、今日はまだ日差しが強いので今日も、楽天で買った2000円のサングラスをかける。そして、iPhoneから繋いだイヤホン…
世の中の嘘には2つの種類がある。「優しくない嘘」と「優しい嘘」だ。 世の中の多くの嘘が優しくない嘘だ。これは「自分の過失を偽るための保身」や「政治家の詭弁による抗弁」、「相手を騙すための欺瞞」があたる。要は、相手を陥れたり、あるいは、自分の…
本日、iPhone7が発表された。日本時間の深夜2時から、Appleの発表会はAppleのサイトで生放送で流された。 毎年行なわれるこのイベントは、さながらWeb上のお祭りだ。夏の終わりの風物詩といってもいい。ジョブズがいなくなっても祭ばやしは続く。 今年も「iP…
- 何がハロウィンだよ 終電に揺られながら、つり革広告を見ながらつぶやく。千葉と東京の境目にあるテーマパークの広告だ。嬉しそうな哺乳類齧歯目がかぶりものをして踊っている。 - ハロウィンだか、ウィンウィンだか、アレックボールドウィンだか知らない…
「このバーでは、自分のお酒の失敗談を話さないといけないんだ」 - へー。なにそれ、面白いね。 「まぁ、このバーが、というわけではないけどね。僕がこの店に行くと隣になった人によく聞くネタなの」 都心から少し外れた各駅停車が止まる駅。その商店街にあ…
夏の終わらせ方には礼儀があるというのは意外と知られていない。夏は、放っておいて去るものではない。送り出す必要があるのだ。クリスマス後のツリーを片付けするクレーンのように。 まず、夏を終わらせるには、夏を存分に楽しまないといけない。夏を楽しん…
友達は私の彼のことを、ドンペンさん、と呼んだ。 由来は、彼の婚活サイトの写真は、ドンキホーテのペンギンが映っているものだったからだ。ビニルの安い青いペンギンを右手に持って、彼は、白いワイシャツの上でてれ笑いのような笑顔をしていた。髪型は少し…
»最高齢で死亡のゾウ「はな子」のお別れ会 東京 上記の記事にもあるように、先日、今年5月に他界した象「はな子」のお別れ会が行われた。 それまで、私は「はな子」を「長寿の象」としか認識していなかったのだが、思ったよりも、この「はな子」は、多くのも…
その国では、たまに同じ日が繰り返される。たとえば、8月31日が終わり翌日が9月の1日だと思ったら、もう一度、8月31日から始まる。 1年に1度くらい起こるので、みなは「ああ、また繰り返しか」と思い、同じ日々をうんざりしながら過ごす。なぜこういうことが…
コーヒーが大好きな男がいた。いつもコーヒーを飲んでいた。朝、出社する時にコンビニのコーヒーを買う。昼ご飯の時は帰り道に缶コーヒー。休憩時間にはスターバックス。夜は、自分でドリップしたコーヒー。 人生でもっとも悲しいことが、コーヒーガムがなく…