眠る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです。最近テクノロジーをテーマにしたものに凝ってます)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます あとスターも励みになります!

花屋のひまわりの位置

表参道を歩いていると、デザイナーの友人が言う

- あの花屋の花の並びは非常に素晴らしい。しかし、あのひまわりの場所だけ気持ち悪いんだ

デザインを糧にしている人は着眼点が違うな、と思った。彼は花屋の花の並びをデザインに見たて、ひまわりの位置に気持ち悪さを感じている。

- なぁ、花屋の人にいったら変えてくれるかな?

と聞かれるが、僕は「そんなことを聞いても気持ち悪がられるだけだよ」と応える。そもそも、それって「デザインに正解はあるのか」という命題にたどり着く。誰かのデザインの中では、いまの花屋の並びがベストかもしれない。

- デザインに正解はないが、ベターはある。あそこにひまわりがあるのは、どうしても気持ち悪いんだ。全体が気持ち悪いならまだわかる。他がきれいに揃っているのに、ひまわりだけおかしい。意図的にずらしているとしか思えないんだ

だったら、尚更、花屋の意図があるんだろう。おせっかいだ。結局、その日は、花屋には訪れる解散した。そして、後日デザイナーの友人から話を聞く。

- 実は翌日、どうしても気になって、あの花屋にいったんだよ。「ひまわりの位置をこっちにした方が、もっと全体が美しく見えるんじゃないですか」って。

花屋さんの気持ちを想像しながら、僕は質問をつづける。「花屋さんはなんていったの?

- 「わたくしどもの花だけを見ていれば、この向日葵は、仰るとおり、そちらにあった方がいいかもしれません。でも、わたくしどもの隣には、お食事処もありますし、タバコ屋さんもあります。これらを考えると、ひまわりはここにあるのがいいんです」