眠る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです。最近テクノロジーをテーマにしたものに凝ってます)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます あとスターも励みになります!

飛行機にて

西川が飛行機に乗るのは6度目だが、人生ではあと50回以上も乗ることになることを西川は知らない。隣にいる恋人の酒井は、この旅行でサンゴ礁で足を切って怪我をしてしまうが、今は傷ひとつない生足がエコノミークラスのシート下に収まっている。ビーチサンダルとオレンジと赤のネイルがリゾートの雰囲気を醸し出し、いかに彼女がビーチを楽しみにしているかわかる。酒井はまだ飛行機は3回目なので、まだまだ飛行機を乗ることが楽しい。離陸までの数十分は、未だに緊張すると同時に興奮をする。写真も撮る。幸い、彼女が心配するような飛行機の離陸の事故は彼女の人生にはおこならない。

西川は、現地についたらいくらを両替しようか考えている。成田での両替はレートが悪いと聞いたので、現地で両替をしようとしているが、空港で無事に両替ができるか不安だ。ホテルまでは5000円があれば大丈夫だが、ホテルでもお金を使うかもしれない。両替所は町中にあると書いてあったが、ホテルの近くにあるだろうか。ないことを考えると、空港では2日分くらいのお金を両替をしておいた方が良いかもしれない。そうすると、最初の日は何をするか考えておかないといくら必要になるか計算できない。最悪、クレジットカードを使えば良いが、どれだけ使えるだろうか。予定を建てようも、隣の席の彼女が、まだガイドブックを熱心に見ているので、プランを立てられない。結局、西川は空港で多めの3万円を両替した。両替所は初日に再度、見つけるので、3万円の両替は多すぎる両替だったが、彼はそのことをまだ知らない。

酒井は、まず海に行きたかった。あとは、現地の焼き鳥のような食べ物を食べてみたかった。あとは、マッサージにも行きたい。したいことがたくさんだ。酒井は、それらのことは全部旅行中に体験することができる。しかし、その分、西川は気が休まらなかった。店を探して、お金の心配をして、タクシーの運転手とやりとりをして疲労困憊だった。まだ付き合って2か月で、海外旅行は少し早まったかと思う。もう少し仲良くなってからいった方が気楽だったかもしれない。しかし、彼の努力で、彼女は旅行に満足したし、行く前よりも2%ほど親愛度は高まった。

ただ、2人は旅行から帰ってきて14か月と2日後に別れる。2人はそのことをしらない。ただ、西川は、「もしかしたら2人は別れるかもしれない。それでも、この旅行では全力で彼女を楽しませてあげよう」とは考えていた。そのため、彼は別れても、この旅行を後悔をすることはないと思っていた。そして、それは実際にそのとおりになった。