寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

ソーセージしかない国

その国では、ソーセージしか食べ物はなかった。米や小麦は尽く枯れてしまった。野菜も育つような土壌ではなかった。魚も取れない海で、牛や豚もいなかった。輸入しようにも、通貨が弱く、輸入ができなかった。ただ、ソーセージだけ余っている国があり、ソーセージはもらうことができた。代わりにその国では、石だか何かをその国にお返ししていた。

ともかく。ともかく、その国はソーセージしか食べられない国だった。

朝はまず大変である。朝からソーセージのため、「ソーセージにはビールだろ」と、朝から皆がビールを飲むようになった。コーヒーではないのである。ゆえに、朝から電車は酔っぱらいで満員になった。酔っ払ったまま満員電車にのるから大惨事である。全ての駅が土曜の6時の六本木のような有様になっているのだ。

昼もソーセージである。自宅から作ってきたソーセージお弁当か、会社で買う社ソーセージか、外食で食べるソーセージかの3派に別れる。なお外食ソーセージ派も、お箸派とナイフ・フォーク派が存在する。マイノリティだが手づかみ派もある。ソーセージランチといってもバラエティに富む。

夜はさらにバラエティに富む。居酒屋ソーセージ屋では、生かゆでか焼きを選ぶことができる。フレンチソーセージでは、ソーセージのソースを楽しむことができる。ソーセージイタリアンでは、ソーセージをピザ風に伸ばしたものを食べることができる。和ソーセージでは、ソーセージの前菜からソーセージのメイン、ソーセージのデザートまでソーセージの懐石を楽しむことができる。もっとも人気なのはソーセージバーガーで、焼きソーセージをゆでソーセージで挟んだもので、付け合せに生ソーセージを食べる。最近は回転ソーセージという店もできて皿が回ってきて、その上でソーセージがさらに回っているという光景を見ることができる。バルバッコアという店では、ソーセージをスライスして食べ放題で食べることができる。

デートの時は、カップルがソーセージを2人で分け合うのが主流である。友達同士では、自分たちで作るソーセージパーティが大人気だし、家族では、ソーセージ鍋もよく見られる風景だ。

ソーセージを活用した文学も多く作られた。あるベストセラーでは、ソーセージを爆弾に見立てて本屋においてくる少年の話が描かれた。あるいは、ソーセージの匂いを書くと幼少期の頃を思い出すというエピソードが有名な書籍は、今世紀もっとも読むべき本として選ばれた。

なお、結婚式では、奥さんがタコさんソーセージを作って旦那がそれを食べるというのが、伝統的な儀式である。ケーキカットよりも、幾分哲学的な儀式となって伝承されている。

その国においては、人はソーセージだけで生きている。